第三に、米国は、歴史問題について日本を放任する態度を取っている。安倍首相の訪米には、今年が世界の反ファシズム戦争勝利70周年に当たるという背景がある。国際社会は、当時の侵略戦争発動について安倍首相が謝罪するかに注目した。安倍首相は今回も全世界を失望させた。謝罪の表明はなく、「痛切な反省」という当たり障りのない言葉で、第二次大戦で日本が犯した罪をうやむやにしてしまった。安倍首相が正式の謝罪を拒否したのは意外ではない。安倍首相の就任以来の歴史問題についての修正主義的な態度から見れば、安倍首相の発言は想定内である。だが安倍首相の謝罪拒否から浮かび上がってくるのは、安倍首相の屈折した歴史観を放任する米国の態度である。
第二次大戦においては、米国も日本のファシズムの被害者である。だが歴史問題について米国は沈黙の態度を取っている。「日米共同ビジョン声明」は、戦後70年にわたる日米関係を「和解の力を示す模範」と表現している。米国のメディアや専門家の分析は、日米同盟の再構築を中心としており、歴史問題についての考察はあまりない。戦争に対するアジアの人々の怒りや、アジアのもう一つの同盟国である韓国の国民感情がなければ、日本の歴史問題についての米国の放任度はさらに高まっていただろう。この観点からは、米国の健忘症的な傾向も見て取れる。日本の真珠湾奇襲は忘れ去られ、太平洋戦争での米国人の戦死は忘れ去られている。当時のルーズベルト大統領が対日宣戦布告への国会の支持を訴えた同じ場所で安倍首相が演説したのも皮肉である。日本が歴史問題で前進しようとしないのには、米国の放任も大きく影響している。
安倍首相の訪米からは、日米両国が軍事的にも経済的にも結束を強めていることがわかる。その裏には明らかに、中国をターゲットとするねらいがある。日米関係の新たな形勢を前に、中日関係と中米関係、中米日三国関係をいかに処理するかは、深い考察を迫る大きな課題となっている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年5月4日