環球時報は5月11日、「日本旅行の美しい景観と幻」と題する記事を掲載した。記事は中国人が日本旅行に熱心になっていることに首を傾げ、日本の自然景観や食べ物には特筆すべきものもなく、買われているものの多くが「メイド・イン・チャイナ」であるとし、「訪日客は確かに一部の美しい景色を目にしているが、それよりも幻の方が多い」と論じた。記事は斬新な視点と観点で話題となった。筆者は日本を研究する学者、一般的な観光客としての立場から、意見を述べようと思う。
日本の自然景観は確かにずば抜けて美しいわけではなく、和食も中国料理と比べるとシンプルさが目立つ。しかし日本を訪れたことのある中国人客ならば、日本旅行を良かったとしており、実際の体験により好感度を高めている。これは異論の余地がない事実だ。日本人はありふれた景色を魅力的な観光スポットにし、評判を維持できる。これは決して「幻」によって説明できるものではなく、その裏側には中国人がよく考えるべき点がある。
旅行には美しい景色を満喫し、見聞を広め、サービスを楽しみ、リラックスするといった多くの目的がある。旅行の質を評価する場合も、総合的に考える必要がある。世界的に見ても、日本旅行は高得点を記録できる。個人的な感情を差し引けば、これを否定できないだろう。
中国人にとっての日本旅行には、より特別な意義がある。日本を訪れた中国人ならば、日本の清潔で整った街道、丁寧で周到なマニュアル化されたサービス、良好な社会の秩序などが印象に残るだろう。これらはみな、中国に不足しているものだ。日本で汚く乱れた衛生の死角を目にすることは稀であり、信号無視をしたり、大騒ぎをする人が少ない。日本人はマナーを非常に重視し、車を運転する際も規則を順守する。中国が直面している環境汚染、資源不足、食品衛生などの難題は、日本ではほぼ解消されている。日本の道路を走る車の多くは小排気量の車で、40平方メートルの2DKの住宅も整理整頓されている。日本旅行を終えてから中国を見ると、何かを感じやすい。我々は謙虚に日本に学ぶべきだ。
日本人はどのような些細な点であっても注意する。これは日本旅行が高い評価を維持している理由だ。例えば日本の一般人は西洋人と同じく冷水を飲むが、旅館は中国人客の習慣に合わせお湯を準備している。
本文は中日関係における歴史や領土などの問題については触れず、日本旅行のみを取り上げた。日本旅行を悪く言うのは、客観的ではない。条件さえあれば、中国人はやはり日本を訪れるべきだろう。(筆者:周永生 外交学院日本研究センター副主任)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年5月13日