中国が参加せず、ロシアと対立する。これはG7の一目瞭然たる欠点だ。G7が自らの影響力を拡大しようとするならば、外部世界との最大公約数を多く求め、喜んで良い意見を受け入れるべきだ。あちこちで対立をこしらえれば、自身の影響力をさらに割り引くことになる。
ウクライナ危機後、G7は米国の対露制裁を応援する付属的な組織になったようだ。政治面が強化され、経済的機能が損なわれた。G7が今後、西側諸国が中国に圧力を掛けるための政治的なスピーカーになれば、それはこの組織にとっての「悪の道」になるだろう。
これは欧州諸国の利益にまったく合致しない。冷戦終了後、地政学の最先端であった欧州は多くの利益を手にするべきだが、それは米国に掠め取られた。欧州では南スラヴ戦争が勃発し、現在はウクライナ危機が生じている。欧州は世界構造の変化の敗者になり、一部の欧州諸国はその他の西側世界よりも経済面で隅に追いやられている。
欧州諸国はAIIBに積極的な態度を示した。これは各国の国益の再覚醒を反映したかのように見える。現在の西側世界には、ロシアと中国をいかに認識すべきかという重大な問題がある。中国の問題を見据える際に差別的な意識が幅を利かているが、欧州と中国の間の共同の利益は相互の争いを緩和する。米日の中国に対する地政学的な競争は、差別的な意識の重なりを示している。