安倍晋三首相の働きかけを受け、G7サミットは6月8日に発表した共同声明の中で、東中国海・南中国海の緊張情勢に関心を示し、「大規模な埋立など、一方的な行為による現状変更に強く反対する」と表明した。中国を名指しにはしなかったが、圧力をかけようとする日本の意図は明らかだ。しかしこの人為的にこしらえられた南中国海問題の「喧騒」は、米日などの国の、自国の影響力が日増しに低下することへの「焦り」と「無力感」を浮き彫りにしている。これは主に、次の3つの点で示されている。
(一)事実を蔑ろにし、中国が南中国海の平和と安定のために建設的な力を発揮していることを無視し、中国の主権・管轄の範囲内における合法的な行為、および海域の平和で安全な使用という目標をいわれなく批判している。中国は南沙諸島の岩礁埋立は海上救助、防災・減災など、世界の安全事業に寄与するものであり、国際的な責任と義務を担おうとしていると重ねて強調している。しかし米日などの国は中国の岩礁埋立の道義的目標をないがしろにし、中国の積極的な行為を歪曲・誇張し、中国脅威論を喧伝している。さらにG7に一方的な宣言をさせ、国際世論をミスリードしようとしている。
(二)南中国海問題のエスカレートの主因をすり替え、是非を混同している。南中国海問題がエスカレートを続けている主因はこうだ。(1)一部の当事国が長期的に中国の南中国海における岩礁を不法占拠し、かつ岩礁の建設を強化し、中国の南中国海の関連海域における油ガス開発を妨害するといった手段により、中国の南中国海における合法的な権益を脅かしている。(2)米国は「航行の自由」の維持を名義とし、中国の南中国海の海域で情報収集と近接偵察を行っている。(3)米日はベトナムやフィリピンなどへの軍事・準軍事設備の援助を行い、合同演習を実施している。(4)米日はベトナムやフィリピンなど、地域外の大国を抱き込み南中国海問題に介入させようとする国に積極的に協力し、南中国海問題の国際化・複雑化を促進している。
一方で中国は近年、並行協議を含む手段による、南中国海の平和と安定の維持を積極的に模索し続けている。
(三)既存の海洋秩序の主導権を失うことを恐れている。近年の国際情勢の変革に伴い、既存の海洋秩序にある不備が浮き彫りになっている。この秩序の主導者・保護者である米日などの先進国は、急台頭する中国を潜在的な挑戦者とし、圧力をかけている。人類の進歩と世界の発展は、既存の国際秩序の不足を浮き彫りにする。しかし米日などの国はこの秩序の不足を直視せず、現状維持に固執している。さらに「ゼロサム」の考えによって、建設的な態度で関連する改革を推進しようとする中国の良き願いに対して、勝手な憶測をしている。自国の能力に対する不信感が露呈されている。(筆者:林勇新 中国南海研究院海上シルクロード研究所副所長)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年6月11日