訪日外国人の数が「過去最多」を更新するなか、旅館が減り続けている。観光庁は「時代のニーズに対応できず、外国人客の取り込みにも消極的だ」と指摘した。観光庁は先月から、経営者らを対象にした無料オンライン講座「旅館経営教室」を立ち上げた。中国新聞社が伝えた。
厚生労働省の2013年度衛生行政報告例によると、全国の旅館数は1983年度に8万1453だったが、13年度は4万3363に減少した。
一方、日本政府観光局によると、14年の訪日外国人は前年より29.4%増の1341万3000人で過去最多となった。
観光庁が今年1−3月、出国する外国人約1万人を対象に消費動向調査を実施した。5人に1人が訪日前、旅館に期待感を持ち、3人に1人が旅館に泊まった。
旅館は外国人に人気であるにも関わらず、苦境に陥っているのはなぜだろうか?
日本政策金融公庫が12年、融資先の旅館約2000社を対象に経営実態調査を実施し、799社から回答を得た。外国人の集客に向けた取り組みを「している」は17.6%で、「していない」は82.4%だった。
観光庁観光産業課によると多くの旅館が「外国語を話せる従業員がいない」などの理由で、外国人客の取り込みに消極的という。
観光庁は旅館を「単なる宿泊施設ではなく日本文化を継承し体現するかけがえのない存在」と位置づける。観光庁は数の激減に危機感を持ち、5月には大阪市など全国4カ所で経営者らを対象にしたセミナーを開催した。5月から8月にかけて、計20回の無料オンライン講座「旅館経営教室」を初めて開いている。