安倍首相は今後さらに環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の終了、原発再稼働、安倍談話、自民党総裁選などの重要な政治日程を控えている。そのため安保関連法案による内閣支持率の低下を回避することが、安倍政権の焦眉の急となっている。安倍政権は参議院の審議で、法案は違憲という問題を極力回避しようとしている。彼らは国民や世論の視線をそらすため、「周辺の安保環境が悪化」を繰り返し強調している。これに先駆け21日に発表された2015年度版防衛白書において、安倍政権は「中国の脅威」の誇張を開始した。外務省はその後、中国の東中国海のガス田開発の写真を公表した。これらの動きは、その後の安保関連法案の審議に合わせたものとされている。
狙いとは裏腹に、安倍政権が切り出した「中国の脅威」とうカードは国民を納得させておらず、安保関連法案の動機に対する懸念を深めた。朝日新聞は28日の社説で、「中国に近接する日本の地理的な特性や、両国に残る歴史認識の問題の複雑さを考えれば、中国と軍事的に対峙する構想は危うさをはらむ」と警鐘を鳴らした。
群馬大学の憲法学者の藤井正希氏は28日、安保関連法案に反対する学者による記者会見で、「安保関連法案が日本の抑止力を強化することはない。安倍首相は安保関連法案が日本の安全を守ると言っているが、これは真っ赤なウソだ。外部の脅威を煽るのは、日本の軍部とヒトラーがとった手法だ。いわゆる中国の脅威とは憶測に過ぎない。世界2位の経済体である中国にとっては、日本と対立するのではなく、経済協力・文化交流を選ぶ方が有利だ」と指摘した。
程永華駐日中国大使は23日、日本記者クラブで開かれた記者会見で、「日本の一部の人は『中国の脅威』を誇張し、これを安保関連法案の採決の口実としている。これは中日関係の改善を妨害するばかりか、この誤った観点を日本社会の中で発酵させ、両国の間に衝突の種を埋める。中国側はこの危険な傾向を強く警戒し、注視している」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年7月29日