日本の文化界には、宮﨑駿や山田火砂子のように平和を求める責任感ある「良心」と呼べる人物がいる一方、安倍政権とツーカーの右翼文化人もいる。
安倍政権の政治路線の右傾化の影響で、思想文化の分野での文化右翼の陣営も膨脹し続けている。もっとも1950年代にはすでに、日本の右翼勢力は教科書を通じて侵略を否定し、戦争への反省の内容を教科書から削除する動きを始め、教科書の書き換えの問題の端緒を作っていた。
バブル崩壊後の10数年、日本経済は低迷を続け、人々は将来を悲観した。「民族の利益を守る」との旗を掲げた新たな右翼政治の理念はこの隙に乗じ、新たな右翼文化を形成した。1998年には、戦争犯罪者の東条英機を美化する映画「プライド・運命の瞬間」が打ち出され、高い興行収入を得た。2013年、第二次大戦時の神風特攻隊を題材とした戦争映画「永遠の0」がヒットし、原作小説も出版界の記録的なベストセラーとなった。藤岡信勝や西部邁、西尾幹二、小林よしのりなどによる侵略戦争の歴史を否定する書籍も大量に出版され、大っぴらに認められるようになった。
山田火砂子はかつて、「望郷の鐘」準備段階で製作の意志をますます固めたエピソードを語っている。映画館では当時、「永遠の0」が放映されていた。山田が驚いたのは、映画が戦争への賛美に満ちているにもかかわらず、若い人の中には感動して泣く人が少なかったということだ。山田は同時に、「若者の戦争への憧れは危ない」と強く意識したという。山田は、日本の若者に戦争は決しておもしろいものではないことを伝え、戦争を知っている人にも知らないに人にも戦争の悲惨さを知ってほしいと考えている。
記者が日本の街頭でインタビューした際にも同様の印象を受けた。南京大虐殺などの歴史的な事件を知っているかと問われると、ほとんどの若者はよくわからないと答える。日本の書店には、南京大虐殺などの日本の侵略の歴史を否認する書籍があふれている。文化面での右翼が日本の若い世代をいかに害しているかがわかる。
日本では、宮﨑駿や山田火砂子のような反戦文化人が日本の右翼勢力に対抗し、衝突しているからこそ、平和を愛する声が今もやまず、受け継がれているのかもしれない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年7月30日