それから、日露間には多くの戦略的な食い違いがある。露日間の領土係争は、解けない問題である。旧ソ連とロシアは、露日平和条約が結ばれれば、四島のうち2つの小島を返還すると表明したことがあるが、四島すべてを返還すると約束したことはない。ロシアが、日本の領土返還の要求に応じる可能性は、今日さらに低くなっている。四島は漁業資源が豊富であり、重要な軍事戦略的価値を持つ。ロシアでは愛国主義が強まっており、有力な部門は島嶼の係争で日本に妥協することに反対している。世界が反ファシズム戦争勝利70周年を記念する中、ロシアは島嶼の問題で妥協・譲歩する国際的な環境を失っている。日本の目標は、四島の全面的な返還だ。
露日の関係改善には、主に現実的な利益の需要がある。ロシアは西側の経済制裁による損失を減らすため、同問題でためらいを残している日本を抱き込もうとしている。ロシアは西側の安全の脅威に対応するため力を集中し、日本の経済・技術支援と油ガス市場のシェアを手にする必要がある。日本は中国対抗に力を集中するため、ロシアと敵同士になるつもりはなく、かつロシアの油ガス資源を渇望している。
露日間には多くの構造的な食い違いが存在している。両国関係はやや改善されるかもしれないが、大幅に改善されることはない。露日の歩み寄り、中国の利益のリスクを警戒するのは理にかなっているが、過度に懸念する必要はない。(筆者:王海運 中国国際戦略学会高級顧問)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年8月2日