環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)閣僚会合が、米ハワイ州のマウイ島で閉幕した。各国は農産物および自動車産業の市場進出、知的財産権の保護といった重要な議題で合意に至らず、結果なくして終わった。6月末に米議会で貿易促進権限(TPA)法案が成立してから初めて開かれた閣僚会合では、重要な議題の進展が見られるのではと期待されていた。
ニュージーランドのティム・グローサー貿易大臣は会合終了後、乳製品の市場進出が、現在のTPP交渉で解決が待たれる難題の一つになっていると述べた。カナダは10月に下院総選挙を控えており、乳製品市場の大幅な開放を避けたいところだ。これによって米日などの国は、砂糖やコメなどの敏感な農産物の市場参入で譲歩に応じなかった。
しかしカナダのエド・ファスト貿易大臣は、カナダの総選挙がTPP交渉を妨げているという説を否定し、積極的に交渉に参加し続けると表明した。TPP交渉における最大の経済体である米国と日本は、農産物の輸入関税、自動車貿易の関税をめぐる問題で合意に至っていない。米国と各国は、バイオ医薬品の知的財産権の保護の期限についても合意に至っていない。
今回のTPP閣僚会合の開催前、TPP交渉の約8割で合意に至っていた。しかし残された20%の議題の交渉は難航が予想される。各国の重大な政治的決断が必要だからだ。米国のマイケル・フロマン通商代表は会合開始前に、貿易交渉の最終段階は常に最も困難であり、各国は多くの困難な業務をやり遂げる必要があると指摘していた。
アナリストは、「米国は来年11月に大統領選を控えており、日本も来年夏に参議院選挙を実施する。TPP交渉が8月中に協定文書案をまとめられなければ、交渉全体が失敗に終わる可能性もある」と述べた。米国の法律によると、米議会はTPPに対して90日の審議期間を設けるが、この期間が来年まで延長されれば、うやむやのままに終わる可能性が高い。来年は米国の大統領選の年であり、国会議員がTPPに費やす時間を失うからだ。延長は数ヶ月に留まらず1、2年に及ぶ恐れがあり、これにより協定締結の機を逸する可能性が高い。
日本の甘利明経済財政政策担当大臣によると、各国は今年8月末までに会合を開く予定だ。日本メディアの報道によると、米日は1ヶ月内にTPP閣僚会合を2回開き、合意を取りまとめようとしている。次の閣僚会合は、8月22−25日にマレーシアで開かれるASEAN経済閣僚会議の前後を予定。5年以上に渡る交渉により、TPP交渉はすでに各国が切り札を出す段階に入っている。各国が苦しい政治的決断を下せるかについては、今後の経過を見守る必要がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年8月5日