米ブルームバーグはこのほど、今年は400万人の中国人観光客が日本を訪れ、前年比での伸びは前年人数の3分の2に達するとの見通しを示した。観光客は本場の寿司を味わい、炊飯器や温水洗浄便座の購入に向かう。在上海日本国総領事館によると、昨年日本を訪れた中国人観光客の40%以上が上海市を中心とした地区の住民だという。一方、日本が発給したビザで北京が占める比率は4分の1にとどまる。
中国人観光客の急増については、円安による旅行コストの低下や、中東呼吸器症候群(MERS)の感染拡大による韓国への観光客減少など、複数の理由が考えられる。釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題をめぐる反日デモから3年が経過、中日首脳会談が実現し中日間に緊張緩和の兆しが見えたことも一因だ。
ただ、なぜ上海人観光客の比率が高いのか?上海師範大学歴史系の蘇智良教授によると、上海は20世紀に植民地主義の中心地として日本をはじめとする海外諸国と深い関係を築いて来た。上海は中国で最も早く、日本の権力、文化、移民を受け入れ日本と交わってきた重要な土地だったと指摘。1980年代後半も交換留学生の間でこのような関係が維持され、政治的緊張に左右されずに交流が続いてきたとの見方を示した。
上海から日本に向かう豪華客船の多さも上海と日本の交流の深さを物語る。在上海日本国総領事館は上海ー日本間を往復する豪華クルーズ船の運航回数について、今年は昨年の倍に当たる約250回に上ると予想する。
清華大学で中日関係を研究する劉江永教授は訪日中国人観光客の増加について、中日両国の関係改善が期待されると指摘。中日両国の民間交流の増加は相互理解につながり、より多くの中国人が日本と日本人を理解すれば、日本に対する見方も変わるはずだと強調する。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年8月5日