日本の自民党総裁選が8日に告示され、安倍晋三首相が無投票で再選となった。その他の候補者がなく、外交・安保・経済・拉致問題などを巡る議論が掘り下げられなかったことから、関係者からは「これは世論を軽視したやり方だ」といった批判の声も上がっている。
東日本大震災から4年半が経過したが、被災地では依然として20万人以上が避難生活を強いられている。多くの人は、将来の生活を不安視している。宮城県南三陸町の仮設住宅で自治会長を務める畠山扶美夫さんは、「被災地は放っておかれている。安倍首相は被災地の復興再建を加速すると強調し、南三陸町を何度も訪れているが、口だけで再建を繰り返しているだけで、実質的な中身を伴わない芝居のようだ」と振り返る。
岩手県宮古市の仮設住宅で暮らす女性は、「他に候補者がいなければやむなきこと」と述べた。
安保関連法案に反対する大学生らでつくる団体「SEALDs」の中心メンバー、国際基督教大学4年生の元山仁士郎さんは、安倍首相が無投票で自民党総裁に再選したことについて、「法案反対の呼び声が高まっており、党内にも安倍首相のやり方が気に食わない議員がいるはずだ。総裁選という唯一のチャンスをつかまないことは、国民に対する軽視だ」と批判した。
普天間基地移設問題で、安倍政権は名護市辺野古移設案を掲げている。ヘリ基地反対協事務局次長の仲本興真さんは、「再選は移設の強行を促す可能性があり、実に遺憾だ。反対活動によって対抗する」と強調した。
円安によるデフレ脱却を目指すアベノミクスについては、株価上昇などの成果が強調されている。しかし中小企業と町工場が集中する東京都大田区で研磨業を営む村越幹尾さんは、「私たちは恩恵を受けていない」と溜息をついた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年9月8日