敗戦国の日本は戦後、軍国主義を徹底的に取り除くため、軍隊を解散した。しかし1950年に朝鮮戦争が勃発すると、日本政府は連合国軍総司令部(GHQ)」の指示に従い、「連合国軍」の軍事行動に協力するため「警察予備隊」と「海上警備隊」を発足した。この2つの武装勢力はその後、「陸上自衛隊」、「海上自衛隊」と名を改めた。
「自衛隊」と呼ばれるのは、日本国憲法第9条に「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と規定されているからだ。つまり日本国憲法は、日本が軍隊を保有できないと明確に規定していることになる。
しかしながら日本の右翼政治家は、「平和憲法」の束縛を受けようとしていない。自民党は2005年の立党50周年記念大会で、憲法改正案を発表した。その中心的な内容は、「平和憲法」第9条の日本が軍隊を保有できないという規定の放棄であり、「国防軍」の設置を求めた。自民党はこの目標に向け取り組みを続けたが、改憲は国民の支持を得られず見送りとなった。
長い取り組みも効果を得られなかった安倍内閣は、成立が容易な安保関連法案に重点を置き直した。同法案の軸は集団的自衛権で、同盟国の米国の利益を保障する。米国政府は自ずと日本が同法案を成立することを支持している。
日本の防衛政策を振り返ると、大幅な改定には常に米国の影がつきまとっている。1999年の「周辺事態法」、「イラク復興支援特別措置法」は、米国の世界戦略に迎合したものだ。今回の安保関連法案は、米国の「アジア太平洋リバランス」という大戦略に応じて生まれた。同法案は日本に何をもたらすだろうか?