安倍晋三首相は8日、競争相手ゼロという状況下、与党・自由民主党の総裁に再選した。不測の事態が生じなければ、首相を続投することになる。平和憲法をかなぐり捨て、集団的自衛権の行使を容認しようとする安倍首相は今後3年間、いわゆる「積極的平和主義」の危険な道で「暴走」を続けるのだろうか、それとも施政方針を微調整し、アベノミクスに本腰を入れるのだろうか?
安倍政権の消息筋によると、安倍首相は今月27日までの本国会の会期中に、安保と歴史の議題に焦点を絞り、安保関連法案の参議院強行採決を目指す。この秋が過ぎれば、安倍首相の施政の重心は再び「経済成長戦略」に戻ってくるだろう。
【重要な問題を回避か?】
安倍首相が8日、自民党総裁に再選すると、ロイター通信は15人のエコノミストのインタビューを実施した。エコノミストらは、安倍首相が次の任期内に構造改革を推進し、労働市場に的を絞り、高齢化による社会保障制度の改革に取り組むと判断した。
しかしエコノミストらは、安倍首相が「博徒の心理」を露呈していることから、次の任期内に日本経済の将来に利する構造改革に力を注ぐことはなく、それよりもやりやすい金融緩和や財政刺激といった手段により景気回復を促し続けると予想した。
アベノミクスが実施され、経済界からはこれを疑問視する声が後を絶たない。アナリストは、金融緩和策による円安株高により、株や証券などのリスク資産を持つ日本の富裕層が多くの利益を手にしているが、資産のほとんどが預金の一般的なサラリーマン世帯の所得は増加しておらず、むしろ消費増税や物価上昇などにより生活が苦しくなっていると指摘した。この二極化は日本社会の貧富の格差を広げ、日本経済を引き裂こうとしている。
富士通総研のマルティン・シュルツ研究員は、「国内の原動力が不足しているほか、安倍首相に構造改革を迫る外部の圧力も弱まっている。これにより改革が遅れ、日本の経済発展に多くのリスクがもたらされている」と分析した。
【国民の目をそらす?】
アナリストは、安倍首相が次の任期内で経済に焦点を絞ることには、次の狙いがあると判断した。(1)安保関連法案が参議院で強行採決され、日本の「専守防衛」の国策が変われば、安保の議題に「しつこく絡む」現実的な意義は失われる。(2)安保関連法案の強行採決が国民の怒りを買い、抗議活動を引き起こす中、安倍政権は「経済のカード」を切ることで国民の目をそらそうとしている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年9月9日