安倍首相が推し進める安保法案は、人々の反対の声の高まる中、参院本会議で予想通り可決された。国際社会では日本が再び軍国主義の道を歩むのではないかとの不安が広がっているが、米国は「日本が地域と世界の安全においてより積極的な役割を果たすことを歓迎する」との立場を示している。日本はこれまでも、歴史問題に対する取り組みの甘さを指摘され続けてきた。束縛を解き放たれた日本が今後、米国の戦略設計に従って進んでいくかは、甚だ疑問である。
米国の「曖昧」
日本共同通信の20日の報道によると、米シンクタンク「外交問題評議会」のシーラ・スミス上級研究員は、日本の安保関連法案の通過を評価すると同時に、日本国内には米国に対する誤解が存在しており、米国は日本に対して海外での武力行使を求めてはいないと指摘した。
第2次大戦中の日本軍の暴虐を記憶していることから、国際社会は、戦争権を獲得した今回の法整備に不安を示している。
韓国政府の報道官は、80%の国民が反対する状況の下で安倍政権が同法案を通過させたことは、日本の軍国主義が復活するのではないかという不安を北東アジアの多くの国と国民に抱かせるものとなったと指摘した。
ブラジル紙「Jornal do Brasil」は、これは平和憲法の規定する「平和主義」や「武力の不使用」という条項を脇に追いやるものだとした。
ドイツメディアも「東京が武器を取った」と報道した。
こうした流れに逆流しているのが米国である。法案の表決前、米国務省のカービー報道官は記者会見で、「日本が本地域と世界の安全においてより積極的な役割を果たすことを歓迎する」と述べた。
米国防省のデービッド・シアー次官補も、国会公聴会に事前に提出した文書の中で、日本との協力の範囲は「平時の海洋監視からより広範な突発事態への対応へと拡大される」とし、日本との協力拡大に「期待」を示した。