小型無人機やサイバー攻撃対策など軍事技術への応用が可能な基礎研究に研究費を支給する防衛省の初の公募に、東京工業大や香川大、岡山大など少なくとも16大学が応募したことが22日に分かった。共同通信が伝えた。
国内の大学は太平洋戦争に協力した反省から、長らく軍事研究から距離を置いてきたが、公募は民生用にも使える基礎研究に限定し、成果の公開を原則としたことから一定数の応募があったとみられる。一方で日本の専門家からは、「軍学共同研究」が蔓延し、学問の自由が脅かされる懸念を指摘する声も出ている。
防衛省は7−8月に「小型飛行体実現に役立つ基礎技術」「サイバー攻撃対処」など28項目の研究課題について研究者を公募した。予算総額は3億円。採択されると最大で年3000万円の研究費が支給される。防衛省は近く採択結果を発表する。
アンケートに「応募あり」と答えたのは静岡大、愛知工業大、鹿児島大など。大阪市立大と東京都市大は複数応募したという。また、17大学が軍事利用可能な研究への対応について明確なルールを持っていた。
応募した大学のうち、千葉工業大は「兵器・軍事技術に関する研究を行わない」との基本理念があるが「自衛隊の救助活動、災害対応技術で、兵器・軍事への利用可能性は皆無」などと説明した。関西大も「軍事目的の研究は禁止」との倫理基準を持つが、応募に当たって「直接的な軍事利用を目的としていないとの文書の提出を研究代表者に求めた」とした。
東京大、慶応大、金沢大、名古屋大、大阪府立大、鳥取大など9大学は回答できないとした。東京大は今年1月に軍事研究の禁止に関する声明を出しており、これを踏まえて研究者や部局で判断して対応するとした。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年9月23日