日本の多くの教員が安保関連法案に反対していることから、教員に圧力をかける政府の行為が再三伝えられている。21日付朝日新聞によると、東京大学教授、放送大学客員教授の佐藤康宏氏が問題文で「現在の政権は、日本が再び戦争をするための体制を整えつつある」と言及し、学内サイトから削除されたことが物議をかもしている。
J-CASTニュースによると、佐藤氏は放送大学の「日本美術史」の単位認定試験で、「戦時中に画家が政府に弾圧されたり協力したりした歴史の解説から画家名の誤りを見つける」という主旨の問題を出した。佐藤氏は導入部で、「現在の政権は、日本が再び戦争をするための体制を整えつつある。平和と自国民を守るのが目的というが、ほとんどの戦争はそういう口実で起きる。1931年の満州事変に始まる戦争もそうだった。それ以前から政府が言論や報道に対する統制を強めていた事実も想起して、昨今の風潮には警戒しなければならない」と論じた。
試験を受けた学生から当日中に疑義のメールが大学側に届いた。副学長からその後、前出部分が不適切だったため削除するとの通告書が届いた。削除された問題文は、学内サイトに掲載された。学校側が削除の通告を取り消すことに同意しなかったため、佐藤氏は2015年度いっぱいで客員教授を辞めることを大学側に伝えた。朝日新聞によると、この試験を受けた670人の学生のうち、学校側に疑義のメールを送ったのは1人のみだった。