12月16日付英国フィナンシャル・タイムズは、「欠点だらけでも中国の台頭を祝おう」と題した記事を掲載した。要約は下記の通り。
中国経済という貨物列車が脱線するところを想像するのは容易だ。筆者がアジアに赴任した14年前、当時の経済規模が名目ベースで中国の3倍もあった日本では、多くの人がまさにその通り予言していた。中国のシステムは自らの矛盾に耐えかねて崩れてしまうに違いない、というわけだ。
何しろ中国経済は国家に管理されており、資本の配分を間違えたりムダの多い投資に依存したりしがちだった。大ざっぱにみると、経済は目を見張るペースで成長を遂げていた。だがその一方で大気や水を汚していた。この分析には何の誤りもない。しかし、中国に内在するストレスは社会の混乱につながり、ひいてはこの国のシステムを崩壊させるだろうという結論は、希望的観測の産物だった。
この結論は、数億人もの人々の生活を目に見える形で改善した中国共産党の実績を過小評価していた。また、同党による愛国主義的なメッセージの強さも過小評価していた。100年以上に及ぶ屈辱の時代を経て、中国はついに「立ち上がった」というメッセージだ。中国は崩壊するどころかますます力を付けている。中国の経済規模は日本の2倍を超えており、購買力平価(PPP)換算のGDPでは、米国を抜いている。
中国の台頭は、我々の時代の最も重要な出来事だ。その影響は甚大であり、世界の重心が西から東に引き寄せられることになる。経済の面ではすでに、アンゴラからオーストラリアまで世界の原材料生産国の見通しが一変した。政治の面では、ほぼすべての国が計算のやり直しを強いられた。例えば米国は、日本や台湾などに無条件の安全保障を今後も提供し続けられるかどうかを外交官があれこれ考えていたまさにそのときに、アジアに軸足を移すことになった。英国はビジネスと国力の磁力に引っ張られ、米国政府の意向を平然と無視して中国主導の銀行創設に参加した。
リスクもあるが、中国の台頭はたたえるべきだ。戦後日本は世界に対して、繁栄と近代性は白人の領分ではないということを証明してみせた。中国は、日本の成功をずっと大きな規模でまねることができると示した。
今は、祝うには奇妙なタイミングに思えるかもしれない。中国崩壊を予言した人は、先見の明があったようではないか。
実際には、中国が世界を変えるには、それほど素晴らしい成果を上げる必要はない。人口の規模のために、中国人が米国の半分の生活水準を手に入れただけでも、中国経済は米国経済の2倍の大きさになる。エール大学のポール・ケネディ教授の著書『The Rise and Fall of The Great Powers(邦題:大国の興亡)』は、経済力の後に軍事、外交両面の力が続くと示唆している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年12月21日