日本は米国に研究用のプルトニウム(計331キロ)を返却する。このプルトニウムの多くが、軍事目的に用いられる高濃度の「兵器級プルトニウム」で、理論上50発の核弾頭を製造できる。
これらのプルトニウムは冷戦中、米英仏が日本に提供したものだ。米国は2010年に第1回核セキュリティ・サミットを開催したころ、日本側に何度も返却を求めていた。しかし日本は、これらのプルトニウムが研究において非常に重要であることを口実に、返却を先延ばししていた。米国に何度も催促され、日本は2014年3月に返却を約束したが、その後はうやむやになっていた。
これらのプルトニウムには、日本にとってどのような用途があるのだろうか?日本はなぜ返却を先延ばししようとするのか?
【用途は?】
これらのプルトニウムは、日本原子力研究開発機構が茨城県東海村に持つ、高速炉臨界実験装置の核燃料として使われている。
今回の米国への返却により、日本は1993年ぶりに海外に大量の核燃料を輸送することになる。日本は原子炉の実験を目的に、当時フランスから1トンの核燃料を輸入し、環境及び安全に対する懸念を引き起こした。
【先延ばしの理由は?】
日本は現在、世界で唯一原爆を投下された国だ。
日本国内の保守勢力は、日本が手にしている、核兵器を直ちに製造できる高濃度プルトニウムは、潜在的な脅威に対して抑止力を形成するとしている。日本ではさらに、オバマ政権が「レームダック化」しており、日本に信頼できる力強い核兵器の保護を提供できないとする声もある。