政治の謎をはらむ、日本の「新文芸」

政治の謎をはらむ、日本の「新文芸」。

タグ: 新文芸  集団的自衛権 自衛隊

発信時間: 2016-01-26 09:48:38 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

安倍晋三首相が2012年に再任すると、日本は集団的自衛権の行使容認の道を猛進し、安保関連法案を強行採決し、国際社会から警戒された。しかしながら、この流れと相互補完の関係を持つエンタメの動向が注目されることは少ない。これは第二次大戦、自衛隊を肯定的にとらえる映像・アニメ作品の激増のことだ。この密かに吹き荒れる「新文芸」の風には、どのような「政治の謎」が隠されているのだろうか。

「新文芸」が本格的に吹き荒れたのは、2001−06年の小泉内閣時代だ。この期間に日本では、第二次大戦や軍人の生活をテーマとする映画が相次いで放映され、巨額の興行収入を叩き出した。「戦国自衛隊1549」は、角川グループ創立60周年記念作品として2005年6月に公開された。作中では、先制攻撃できず平和憲法の束縛を受けることから、国家を効果的に防衛できないことへのやりきれない思いが何度も表現されている。同年7月公開の「亡国のイージス」は、日本の「異常な国」としての葛藤が表現されている。注目すべきは、これらの作品が撮影中に自衛隊から協力を受けていたことだ。自衛隊は軍艦、軍機、戦車などの武器を撮影のために貸し出した。

安倍首相が2012年に再任すると、この「新文芸」はアニメ産業に浸透する流れを呈した。「ゲート―自衛隊」などの第二次大戦の架空のストーリーや、自衛隊を肯定的にとらえるアニメ作品が急増した。これらのアニメ作品は映画と異なり、「愛国」「日本人としての誇り」「異常な国への不満」といった政治的な内容を直接読み取ることが難しいが、軍事武器や美少女により若い男性の注目を集め、自衛隊に対する好感と興味を生むような内容が多い。

文芸であれば、「誰のための文芸か」という重要な問題を回避できない。小泉内閣以来のこの「新文芸」は、日本政府、防衛省、自衛隊、日本のエンタメ産業のために存在している。エンタメ作品による宣伝で、日本政府と自衛隊は国民の自衛隊への理解と支持を強めることで、軍事正常化および将来的な集団的自衛権の行使に向けウォーミングアップをすることができる。また日本のエンタメ産業は自衛隊の協力により制作費を削減し、宣伝効果を発揮し、大きな経済的利益を得ることができる。国の正常化という政治的利益、日本のエンタメ産業の経済的利益、さらに米国のアジア太平洋リバランス戦略の利益に関わるため、日本の「新文芸」の勢いを止めることはできそうにない。しかし日本がやり過ぎれば、この「新文芸」は第二次大戦中に戦争の動員をかけた文芸作品と同じように、後の世代に唾棄されることだろう。(文学博士、上海外国語大学日本文化経済学院講師)

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年1月26日

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