自衛隊と米軍が2012年、民主党の野田政権下で、釣魚島での有事を想定した共同作戦の研究案を作っていた。昨年に改定された新しい日米防衛協力のための指針(ガイドライン)に基づいて策定中の共同作戦計画の素案となっている。24日付朝日新聞が伝えた。
日米両政府は12年9月の防衛相会談で、釣魚島有事は日米安保条約の適用対象との認識で一致し、有事に対応する研究案の作成に取り掛かった。研究案の想定は、漁民などを装った武装勢力が釣魚島に上陸して占拠するグレーゾーン事態から始まる。作戦は4段階に分かれ、防衛省の統合幕僚監部と在日米軍司令部の幹部が組み立てた。「中国」や「尖閣」など直接的な名称は使わず、日米共通の符号で表記されている。
この4段階は、①侵攻前に釣魚島への上陸を予防するため艦艇や航空機で周囲の警備を強化②小規模な武装勢力の上陸後は、日米が相手の増援部隊の接近を阻止し補給路を断つ③上陸した勢力に対し火砲や空爆などで総攻撃④日米部隊が上陸して奪還――というもの。ガイドラインに沿って、自衛隊が「主体的に行動」し、米軍が「適切に協力する」という前提で作られている。
この研究案は自衛隊と米軍の最高クラスの幹部が署名し、防衛・外務両相や首相にも報告された。この研究案を含め、共同作戦に関する情報は最高機密で、日本政府が明らかにしたことはない。民主党政権が2012年に崩壊し、実際の作戦案になることはなかった。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年1月25日