米海軍のミサイル駆逐艦「カーティス・ウィルバー」が1月30日、中国の西沙諸島・中建島の12カイリ内の海域に無断で侵入した。中国外務省の陸慷報道官は2月1日、「米国が長年に渡り主張している、いわゆる航行の自由計画、航行の自由作戦は、公認されている国際法に合致しない。多くの沿岸諸国の主権・安全および海洋権益を無視し、地域の平和と安定を著しく脅かしている。その実質は、航行の自由を口実とする、米国の海上覇権の推進だ」と回答し、米国はこの「人に損失を与えても自分の利益にならない」行為を即刻停止するべきだと忠告した。しかし米国が南中国海問題で繰り返す挑発を受け、一部の国は火に油を注ぎ続けている。日本政府は2月1日、米国の最近の「航行の自由作戦」を公然と支持した。
1日付の産経新聞によると、菅義偉内閣官房長官は同日、「日本は米軍の南中国海における航行の自由作戦に支持を表明してきた」と述べた。菅長官は中国の南中国海における行動について、「現状を変え、緊張を激化させる一方的な行為は、国際社会全体の関心事だ」と古いセリフを繰り返した。
中国海洋問題学者の劉鋒氏は、「日本が米国を支持したのは意外なことではなく、主に現実的な利益と戦略的な需要によるものだ」と指摘した。シンガポール華字紙・聯合早報は1日、「カーティス・ウィルバーの南中国海の巡航後、島礁の12カイリ内に入り航行の自由を行使する米軍の作戦は、南沙諸島から西沙諸島に拡大した。挑発の意味合いが、さらに強まっている」と分析した。ボイス・オブ・アメリカは1日、専門家の分析を引用し、「本件は中国の領海内で発生した、米中関係に悪影響を及ぼす深刻な事件だ。これは中国の軍事現代化後の能力と意図に対する疑問と焦りを反映している」と報じた。
陸報道官は1日、「米国は航行の自由の旗印を掲げ武力を誇示し、緊張を引き起こしているが、これはまさに南中国海の軍事化を推進する最大の誘因である。米国のこのやり方は非常に危険であり無責任だ」と述べた。
劉氏は、「中米の南中国海の駆け引きは新たな段階に突入した。軍事的な挑発は、米国の常態化した選択肢になりつつある。今後は米国が新たな場所で挑発を続ける可能性もある。米国の南中国海での勝手な振る舞いは、中米の海上における摩擦を生じさせる可能性を大幅に高めた。これによって生じるすべての結果に対しては、米国が責任を負うことになる」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年2月2日