清華大学野村総研中国研究センター理事・副センター長の松野豊氏は、日本は自動車・医療・環境保護・エネルギーの4大分野で対中投資を続けていくと判断した。まず、日本企業は依然として中国の巨大な消費市場に期待しており、自動車産業は現状を維持した上で拡大していく見通しだ。次に、中国の高所得層の健康志向により、日本企業は中国の医療分野への投資を拡大できる。日立は近年、中国の医療・健康分野に関心を寄せ、中国の病院と事業提携している。日立は日本の電子カルテなどの事業を中国に導入し、その情報共有を実現し、病院に予防・検査・治療といった行き届いたサービスを提供しようとしている。それから、環境保護とエネルギーの分野で、中国と日本の企業が一体化し、国際市場を勝ち取ることができる。
日本企業の核心的な競争力は、依然として技術だ。凸版印刷北京事務所代表の本田和秀氏によると、同社は2000年から故宮博物院と事業提携し、自社のデジタルアーカイブ技術を使い故宮の建築物と文化財を保存・公開し、スマートフォンやタブレットPCなどのモバイルデバイスのアプリを開発した。川崎重工は重慶市の両江新区に、ロボットシステムとロボットの生産拠点を設立している。同社は2017年に、中国産業用ロボットにおける市場規模が、世界の3分の1を占めると予想している。
松野氏によると、日本企業による中国大挙撤退は事実ではなく、その計画もないが、中国のハイテク産業への投資に慎重な態度を持っている。日本企業は80年代前半から90年代中頃まで、中国を「支援」の対象としていた。90年代後半から00年代中頃になると中国を「協力」の対象とした。日本企業は現在、中国を「ライバル」としている。学者のこのような観点に対して、復旦大学の孫立堅教授(経済学)は、「今や一部の中国企業の競争力は、世界一流水準に達している。中国企業の学習・模擬・イノベーションなどの能力が高まる中、日本企業はハイテク産業の対中投資に慎重になるだろう」と話した。
事業面の変化の他に、中国に進出した日本企業には別の変化もある。自民党の谷垣禎一幹事長は、環球時報の独占インタビューに応じた際に、「中日の従来の事業提携では、主に日本企業が労働集約型産業を中国企業に委託していた。しかし中国の技術水準の向上に伴い、両国の提携方法にも変化が生じた。例えば日本は中国よりも早めに高齢化社会に入っており、この分野の多くの経験と教訓を中国に提供できる。経験の共有で、日中の提携にはまだ多くの余地が残されている」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年2月14日