2016年の全国両会(全国人民代表大会、全国政治協商会議)で、「環境保護」が依然として注目を集めた。李克強総理は3月5日、第12期全国人民代表大会第4回会議で政府活動報告を行い、中国の2016年の8つの重点活動を列挙した。これには環境改善の拡大、グリーン発展の新たな進展の推進が含まれた。中日両国の専門家・学者は、「グリーン発展」に関する観点を述べた。
中国人専門家 古い観念を打破し、新たな観念を樹立
全国党建研究会客員研究員、北京市委党校教授の姚桓氏はグリーン発展の実現について、まず最も需要なことは観念の変革であり、古い観念を打破し、新たな観念を樹立する必要があるとした。富を築くために環境と子孫の未来をないがしろにし、GDPと成長率を優先し、地方保護主義を優先し、政府は金があれば何でもできると考え、目先の利益をむさぼり後のことを考えないといった、これまでの観念とやり方に別れを告げなければならない。盲目的な発展、過度な採掘、先に開発するという焦りなどを自制しなければならない。
次に、政策を決定する際に、やっかいな問題を適切に処理し、苦しい選択をしなければならない。例えば生産方式と成長方式のモデルチェンジ、汚染企業の閉鎖、退職者の再就職支援、クリーン生産の実施、時代遅れの生産能力と製造技術の淘汰などだ。これらの変革は確かに、地方の収益・税収・雇用に一時的な影響を及ぼし、各方面の利益に関わる。これは痛みではあるが、実現しなければならない変化だ。
日本人専門家 環境保護事業は「社会の力」が必要
日本の国際協力機構中国事務所次長の宮崎卓氏は、中国がグリーン発展を実現するためには、「社会の力」を発揮しなければならないと述べた。日本の産業革命期に当たる1960−70年代に、非常に深刻な環境汚染問題が生じた。うち最も有名なのは、北九州市だ。現在の北九州市は非常に清潔だが、1960−70年代には、日本で汚染が最も深刻な都市になった。当時多くの人は環境を保護するため、さまざまなキャンペーンを展開した。「社会の力」は、北九州の環境を改善する重要な要素となった。
宮崎氏は、国際協力機構中国事務所が今年4月、中国環境保護部と共に中日友好環境保護センターで新たな技術協力プロジェクトを展開すると紹介した。これらのプロジェクトは、中国の「環境保護型社会」の建設への協力を目的としている。日本は「社会の力」を利用し、環境保護を推進する経験を、中国人に伝えることになる。
宮崎氏は、「グリーン金融」という概念が、中国で流行していると話した。日本もかつて「公害防止事業団」を設立し、企業の技術指導を行う一方で、環境保護に有利なプロジェクトを立案し、基金などの手段により多くの資金を環境保護プロジェクトに向けた。このような金融環境保護プロジェクトが、環境保護事業に多く参与できれば、環境保護事業の発展を促進するはずだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年3月20日