岩手県陸前高田市は、2011年3月に発生した東日本大震災の最も深刻な被災地の一つだ。市街地は津波で完全に破壊され、1800人以上の住民が命を落とした。地震の発生から5年が過ぎようとしているが、陸前高田市では仮設住宅ぐらしを強いられている住民が多く、再建が遅れている。
陸前高田市の戸羽太市長によると、市が直面している最大の問題は「高地不足」だ。市街地は標高が低く津波による被害を受けたが、日本政府は震災後、このような低地を「危険エリア」に指定し、再建前に市街地跡地の盛土工事を行うよう求めた。しかし多くの手続きが必要なため、工事が遅れている。市街地跡地は現在も、被災当時の状態のままだ。陸前高田市は高地が少ないため、全市の住宅などの用地の供給が不足している。約3000人の被災者が自宅を建設するための土地を得られず、仮設住宅に入居している。仮設住宅の入居率は6割を超え、被害者はさらに4年待たなければならない。
復興再建の遅れにより、一部の被災者は故郷を離れている。2015年の人口調査によると、震災から5年が経過し、約2000人の被災者(全市の人口の約10%)が転居している。長く待たされている高齢の被災者は、健康的にも精神的にも追い詰められている。現地の少なくとも50人の被災者は、震災による健康状況の悪化による死亡、うつによる自殺が認定されている。経済面を見ると、一部の店主は土地がなく店を建てることができず、資金繰りが悪化し、破産の危機に立たされている。養殖業などの中心産業はほぼ回復しているが、人口の流失と建築業界の人手の需要により、労働力が不足している。ほぼすべての工場が従業員を集められず、今後の経営についても未知数だ。
戸羽市長によると、震災から5年がたつが、現地の再建は5割ほどしか終わっていない。これは日本政府が被災地を十分に理解しておらず、関連政策が実情に沿っていないことから、再建が遅れているためだ。
戸羽市長は、「政府による被災地の調査は不十分だ。被災地の再建を担当する復興大臣は5年で5人替わっている。復興大臣が被災地の状況を把握したばかりで、内閣改造で交替となる。新たに就任した復興大臣は初めから実情を把握しなければならない。被災地はこれに悩まされている。政府が被災地の意見を求めず出した政策は実情に沿わず、一部の差し迫っていない建設工事を先に始める。被災地にとって焦眉の急となっている工事は延期されている」と話した。
戸羽市長は、「複雑な法律と審査手続きも、市街地跡地の盛土工事を遅らせている。一部の審査手続きは3ヶ月も待たなければならず、震災から2年の時間はほぼ審査に費やされた。再建そのものは、停滞している。政府が被災地の審査の『優先ルート』を設置し、被災地が必要としている取り組みをすれば、再建は大幅に加速されるだろう」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年3月10日