331キロは、日本が貯め込んでいる核燃料の、ほんのごく一部にすぎない。日本は1990年代前半、「余剰プルトニウムを保有せず」という政策を発表したが、20数年に渡り分離プルトニウムの総量は減るどころかむしろ倍増した。福島原発事故の影響を受け、日本で稼働中の原発は数えるほどしかなく、核燃料の需給バランスに大きな乱れが生じている。
米カーネギー国際平和財団上席研究員のジェームズ・ アクトン氏は、「プルトニウムの製造は、自国の原発の消費可能な範囲を超えるべきではない。プルトニウムの備蓄は、アジアの緊張を刺激し、核兵器を狙ったテロのリスクを拡大する可能性がある」と指摘した。
日本国内の多くの右寄りな政治家の態度も、日本の核政策がコントロールを失うという国際社会の懸念の原因になっている。
それからもう一つのリスクも無視できない。日本は地震多発国であり、保管する核燃料が増えるほど、安全事故のリスクが拡大する。自国と周辺諸国の安全に、深刻な影響を及ぼすかもしれない。
今夏の参院選が間近に迫っており、安倍政権は平和憲法改定の目標に向かい邁進している。この時期に日本が核兵器発展の意向を持つとみなされれば、改憲の目標実現の大きな妨げになる。米国にプルトニウムを正式に返還することで、日本は「非核三原則」を守るという姿勢を示し、政治的な誤解を避けることができる。
深刻なリスクをはらむ48トンのプルトニウムと比べれば、日本がこのたび米国に返還した331キロの核燃料は、まさに微々たるものだ。「姿勢」を示すよりも、核燃料を適切に処理しこれ以上増やさないと請け負えるかが、日本政府の核政策の真の意図を読むための試金石になる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年3月23日