東京外国為替市場の11日の取引開始後、先週の円高の流れを引き継ぎ、ドル円相場が1ドル=108円を割り込んだ。日本経済のファンダメンタルズが悪化し、マイナス金利政策が実施される中、円相場が逆に振れることで、日本の株価と経済全体に大きな圧力がもたらされている。
円は先週ドルに対して3%以上の円高となり、2014年ぶりの円高を記録した。円は今年に入ってから、ドルに対して11%の円高となっている。円は世界で最も人気の高い通貨となった。
日本企業は輸出型が中心のため、円高により輸出企業の利益が損なわれる。例えばドル円で1円の円高が生じると、トヨタ自動車は400億円の減益となる。円高により日本企業の利益が損なわれる懸念から、円相場と株価は反比例をなしている。円安になれば株価が上がり、円高になれば株価が下がるのだ。
日経平均株価指数は今年より17%低下している。この状況下、これまで日本株を購入していた外国人投資家も資産を手放しており、日本の株価にとって泣きっ面に蜂となっている。ブルームバーグのデータによると、外国人投資家は今年以来、日本の株式市場から460億ドルの資金を戻している。
一般的に言えば、為替相場は一国の経済のバロメーターで、景気が良ければ相場が上がり、不景気であれば下がる。しかし持続的かつ大幅な円高の背景となっているのは、脆弱な日本経済だ。日本の国内総生産(GDP)は昨年第4四半期、前四半期比で0.3%減(年率換算で1.1%減)となった。
日本経済を回復させるため、日銀は1月29日にマイナス金利政策の実施を発表した。通常ならば、マイナス金利は相場下落を促すはずだ。しかし日銀のマイナス金利実施後も、円高の流れが逆転することはなかった。
アナリストは、円のこの奇妙な動向は、円のリスク回避通貨としての役割と関連しているとしている。世界の地政学的・経済的なリスクが拡大すると、世界の資金はより安全で投資収益率の低いリスク回避資産に流れる。円とスイスフランは、このようなリスク回避通貨だ。日本国債の利回りは長期的に、世界の先進国のうち最低水準となっている。収益率が最も低い資産は、最も安全な資産とされている。
近年の出来事を振り返ると、ウクライナ危機やシリア危機などの地政学的リスクが拡大した際、また年初の世界的な株価変動の際にも、大幅な円高が発生した。
そのため今年に入ってからの円高は、世界的な経済リスクの拡大と、国際投資家のリスク回避の観測の強まりを反映していると言える。しかし世界的な地政学的・経済的リスクにより円高が進行するという特徴は、日本経済にとっては紛れもなく二重の打撃だ。外部の市場環境が悪化すると同時に、円高により輸出企業の経営が悪化するのだ。
そのため最近の円高は、日本政府から重視されている。菅義偉官房長官は先ほど取材に応じた際に、「為替市場の動向を緊張感を持って注視し、場合によっては必要な措置を取りたい」と述べた。
今年2月に上海で開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議では、「競争的な通貨切り下げを回避すべき」とされた。そのため日本政府による為替介入は限定的と分析されている。ブルームバーグの調査によると、複数のアナリストは日本が為替介入に踏み切るタイミングを、1ドル=100円を割り込んだ時と予想している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年4月12日