21日付英フィナンシャル・タイムズによると、国連・表現の自由調査官のデビッド・ケイ氏は1週間の実地調査後、「日本メディアの独立性の発展は、非常に懸念すべき傾向を示している」とし、日本に対して放送法改正を勧告した。
安倍政権はアジアで最も豊かな民主国の報道の自由を系統的に弱め、批判の声を弱めようとしている。ケイ氏の発言により、世界は初めてこのような懸念を正式に認めたことになる。
ケイ氏は、「私が交流した多くの記者は政府と経営層から、政府の方針に合致する報道を求める強い圧力を感じていた。多くの記者は、主要政治家からの間接的な圧力により、彼らに歩み寄った報道をするか、沈黙することを余儀なくされていると話した」と指摘した。ケイ氏は昨年12月に訪日を予定していたが、日本政府から会談のスケジュールが調整できないとして取り消された。
国連調査官は正式な権力を持たないが、このような名指しでの批判は日本にとって、非常にきまりの悪いことだ。ケイ氏はカリフォルニア大学アーバイン校の法学部の教授だ。
安倍首相が親しい籾井勝人氏をNHKに任命してから、日本の報道の自由が注目を集めている。高市早苗総務大臣は、「政治的偏見」を持つテレビ局の電波を停止する可能性に言及した。また舌鋒鋭いことで知られるキャスターの退任が続いている。
ケイ氏は高市氏を批判し、その観点には法的根拠がなく、かつその発言はメディア規制の脅迫と合理的に理解できるとした。ケイ氏は日本政府に対して、政府が内容の公平性を決められるという法律を廃止し、「メディア監督」から身を引くよう呼びかけた。
しかしケイ氏は日本メディアも批判し、「日本メディアが心を合わせて協力し、自身の独立性を維持し、自制することができれば、政府の影響力は問題ではないはずだ」と述べた。
ケイ氏の批判の対象には、日本の「記者クラブ」が含まれる。日本の各政府部門内に、このような閉鎖的な記者団体がある。彼らは政治家のインタビュー、情報入手の特権を持つが、その代わりに報道内容を自主規制しなければならない。
ケイ氏は、「新聞のトップ記事の掲載が延期され、一部の記事が取り消されたという例を耳にしている。一部の記者は政府を批判する記事を書いたことで、降職もしくは左遷されたという」と話した。
ケイ氏は一部キャスターの退任の原因が政府からの圧力であることを証明しなかったが、「職員が通常、数十年は勤務し続ける業界にいて、離職者がこれほど多いとは驚きだ」と述べた。
ケイ氏は日本政府の特定機密保護法により、「過度な保護により情報が開示されない」ことを批判し、教科書検定機関は政治的干渉を受けるべきではないと指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年4月21日