「炊き方の秘訣は、第一に水、第二に水、第三に水です」と村嶋は言ったことがある。彼が米以外に重要視するのが水である。村嶋にとって、水はよいごはんを作るための“魂”なのだ。ごはんを炊くための水は、木炭の入った大きなかめに入れ、1日寝かす。それによって水中の雑味を抜き取るのだ。その後アルミなべを使って、そっと水を鍋に入れる。そしてふたをして火を付ける。全ての動作が手早い。
長年の口コミから、今年1月に村嶋は中国からの招待を受けた。北京でご飯炊きを披露し、大好評を博した。村嶋は今後3年かけて中国各地の米の産地をまわって良い米を探す。同時に、ご飯炊きの技を伝授していく。さらに中国の電気炊飯器の開発にも関わる予定だ。
村嶋がそう決めた背景には、素朴な感情があった。それは贖罪である。今年の1月のイベントが開催される前、村嶋は招待側に対し、盧溝橋の中国抗日戦争記念館の参観をしたいと申し出た。
「心の準備はしていましたが、写真に写っている悲惨な出来事を見て、やはり驚きと悔恨を感じ、涙が出てきました」と、記念館を訪問した時の感想をもらした。この時、日本軍が犯した罪の贖罪をしていこうと心に決めたのだった。
「東北地方に行って、私の手で東北の米を炊いてみたい。私の余生を使って、東北の米を使った“銀シャリ”を沢山作り、東北の米がこんなにおいしいことをより多くの人に知らせたい」と村嶋は言う。「もし東北の米1キロが1元でも高く売れるようになれば、私にとって人生で一番の幸せになることでしょう」。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年4月27日