日本の翁長雄志沖縄県知事は、在日米軍属の男による沖縄県の女性遺体遺棄事件を受け23日に首相官邸を訪問し、まもなく訪日するオバマ米大統領との面談を求めた。翁長知事はさらに、実質的な行動を起こし、不平等な日米地位協定を見直すよう日米政府に求めた。
沖縄米軍基地で働く元海兵隊員は今月19日、女性遺体遺棄の容疑で日本の警察に逮捕された。報道によると、容疑者は先月、沖縄県の女性・島袋里奈さん(20)を強姦殺害した。事件後、安倍政権はオバマ大統領の訪日の雰囲気を損ねることを懸念し、外相と防衛相に駐日米国大使と在日米軍司令官を呼び出させ、「強い抗議」の姿勢を示すことで日本人の怒りをおさめようとした。
しかし沖縄県知事が指摘した通り、米軍および米兵が沖縄で起こしたこの新たな暴行事件の根源は、在日米軍に実質的な「治外法権」を与える日米地位協定にある。
日米地位協定は日米安保条約の副産物で、1960年に発効し現在も適用されている。同協定の関連内容によると、米軍と米軍のために勤務する米国籍の民間人が、日本で公務執行中に事件・事故を起こした場合、米国は優先的な司法管轄権を行使できる。また在日米軍の公務以外の事件であっても、米国は先に容疑者を拘留し、日本側が正式に起訴する前であれば日本側に容疑者を引き渡す必要はない。
今回の殺人事件において、沖縄県警は米国に先んじて容疑者を逮捕し、米国側が引き渡しに応じない苦境を回避した。しかし日本政府が日米地位協定における「不平等」な条項を長期的に黙認してきたことから、「治外法権」が在日米軍による犯罪の保護シェルターになり、沖縄県民が米軍の犯罪による最大の被害者になっている。
約4万4700人の在日米軍のうち、7割以上が沖縄に駐留している。沖縄県警の統計データによると、米国が1972年に沖縄を日本に「返還」してから2014年末までに、沖縄米軍および軍属による刑事事件は5862件発生している。うち強姦や殺人など深刻な事件は、571件に達している。ところが日米地位協定に守られている米軍は犯罪後、日本からの法的追及を逃れることがほとんどだ。関連調査によると、日本で近年発生した米軍関係者の犯罪に対する起訴率は、十数パーセントのみとなっている。
沖縄国際大学の前泊博盛教授は、「日米地位協定の枠組み内で、在日米軍の犯罪を抑制するメカニズムがほぼ効力を失っている。そのため米軍には、日本で我が物顔で振る舞っても、懲罰を受けない印象がある」と指摘した。沖縄で多発する米軍による自動車事故を例とすると、「公務執行」を理由とし責任逃れができることから、米軍の乱暴な運転による事故が後を絶たない。事故を起こした一部の米軍関係者は自動車保険に加入しておらず、多くの被害者が賠償金を手にしていない。沖縄米軍のある海兵隊員は5月22日、酒酔い運転で逮捕された。
安倍政権は発足後、集団的自衛権の行使容認を通じ、自衛隊と米軍をより緊密に結びつけている。安倍首相は、これは日米同盟の「対等化」を示すものだと述べた。しかし米軍関係者が沖縄で繰り返す悪行は、安倍政権のこの主張を真っ向から否定している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年5月24日