民進党の関係者によると、安倍晋三首相は28日夜、麻生太郎財務相兼副総理、菅義偉内閣官房長官、谷垣禎一自民党幹事長と公邸で会談し、消費増税を2年半再延期する方針を伝えた。共同通信が伝えた。
安倍首相の方針によると、増税計画は2019年10月まで延期される。安倍首相の自民党総裁の任期は2018年9月末で満了。
自民党の党章によると、総裁の任期は2期、つまり6年だ。2019年10月という任期を超える延期は、「首相として無責任」という批判を集め、安倍首相が総裁の任期を延長し長期政権運営を実現するという憶測を呼ぶとみられる。
自民党筋によると、麻生氏と谷垣氏は安倍首相の方針に難色を示し、衆議院を解散し夏季参院選との同時選が必要になるとした。しかし安倍首相は沈黙し、賛成しなかった。
連立与党を組む公明党の斉藤鉄夫幹事長代行は29日、安倍首相が開いた上述した会談は公明党の議員を集めておらず、事前に延期決定の情報を聞いていなかったとして、自民党と連絡してからコメントすると述べた。
複数の野党は29日、増税延期を理由に、安倍首相の辞任を求めた。民進党の福山哲郎幹事長代行は、安倍首相はこれまでの約束に背いており、辞職するべきだと述べた。この立場は日本共産党と社民党から支持された。
民進党の岡田克也代表は28日、安倍内閣はもはや「信じられない」、アベノミクスはすでに失敗したと述べた上で、「国民の8割が景気回復を実感していない。アベノミクスはすでに失敗しているが、安倍首相はそれでも憲法と平和主義を変えようとしている」と述べた。
日増しに拡大する財政圧力に対応するため、日本政府は2014年4月に消費税を3%引き上げ8%にし、2015年10月にさらに10%に引き上げる予定だった。8%への引き上げ後、日本経済が低迷し、国内の消費が痛手を被ったため、日本政府は2014年11月に増税を2017年4月に延期することを発表した。
安倍首相は当時、東日本大震災クラスの震災、もしくは2008年のリーマン・ショックが再発しなければ、増税計画の「再延期はない」と断言していた。野党は、安倍首相は大地震が発生していないため、経済情勢を無理やりリーマン・ショック級とすることで口実を設けたと指摘した。
安倍首相は数日前に主宰したG7サミットで、現在の経済情勢は2008年の経済危機前に似ているという判断を示したが、ほとんど賛同を得られなかった。一部の首脳は、「危機」は誇張であるとした。日本の多くの専門家も、状況は「完全に異なる」と判断している。
安倍首相が「増税の再延期はない」と断言していたため、急な方針変更により日本の財政に対する国際的な信頼が低下する恐れがある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年5月31日