トヨタ出身で楽天のCOOである百野健太郎氏は、日本の弱点はスマートなクリエイティビティの商業化ができないことにあったと話す。その一方で同氏は、老舗企業が開放的になるべきことを悟っていくにしたがい、新しい企業が想像力のある方法で知的資本を利用するようになり、クリエイティビティの欠如した商業化の状況は急速に改善しつつあると述べる。
ネットショッピングサイトである楽天は、ドローンでの配送を初めて商業化させた企業であり、新型日本企業の典型といえる。現在、同社の行動は迅速で、外向きに発展し、英語話者の募集に応じて入社した社員の多くが海外出身だ。
また、技術史学者のDavid Edgerton氏は著書「The Shock Of The Old」の中で、「テクノ・エスノセントリズム」への熱狂が往々にして人々に誤った道を歩ませたと記している。極めてイノベーション力を持った経済体が最も成功する経済体になるとは限らない。歴史的に見て、「イノベーション力が高い国ほど成長が速いと考える人が多いだろうが、事実は異なる」と同氏は記している。
我々は新技術の重要性を過大評価し、古い技術の価値を過小評価しがちだ。しかし多くの企業は、現状の技術を発展途上国に移転させることで大きな成功を収めているに過ぎない。
1965年、全世界で生産される自転車と自動車の数はほぼ同じで、およそ2000万台だった。その後、自動車という現代的な技術が自転車を追い越しただろうと思うかもしれない。ところが2003年、自転車の生産量は1億台に激増し、自動車の4200万台をはるかに超える。そして日本企業は高級自転車の部品製造の分野で主導的な地位を占めている。
シリコンバレーが先端技術に走るのは自然なことだ。しかし世界の人口70億人のうち、彼らの世界で生活する人は極めて少数である。SF作家のウィリアム・ギブソンは「未来はとっくに訪れている。分布が均一でないだけだ」と述べていた。
世界の大多数の人にとって最も価値ある発明は、波形の鉄プレートやコンドーム、絆創膏、空調システムだ。これらの人々が日常的に頼っている製品について、日本製の品質は依然として貴重なものである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年7月7日