南中国海への介入は、日本の対中戦略の重大な変化だ。しかし日本にとって、この政策転換には堅固な基盤が欠けている。
近代以降、日本の外交政策には常に2種類の対立した主張が存在する。一つ目は大陸重視の「北進政策」で、二つ目は東南アジア重視の「南進政策」だ。日本は現在、中国との領土問題を抱えるASEAN諸国との関係発展を重視し、かつ米国と共に中国をけん制する同盟を形成しようとしている。日本が「南進政策」を実施すると同時に、北方の中国をけん制していることが分かる。日本の外交の二つの伝統は、南中国海政策で一つになる。
日本は現在、主にASEAN諸国との軍事・経済協力および援助を中心手段とし、自国の「南中国海政策」を維持している。
日本がこうすることには、▽中国けん制▽経済的利益▽政治同盟の構築――という3つの目的がある。
しかし南中国海問題に介入する日本の政策は、根本から成り立たない。まず中日、中米関係のレベルが異なる。中国の台頭を受け、米国は二つの手を使った。米国は南中国海で覇者としての姿勢を示し、今後世界で応じる者がいなくなるという状況を避けようとしている。しかしその一方で、中米の高官および軍関係者は南中国海問題をめぐり、表と裏で密接なつながりを維持している。中日の政界および軍の間にあるこの連絡ルートは、非常に脆弱だ。
次に、社会状況を見ると、すでに高齢化社会を迎えた日本は国債発行で財政を維持しており、今後は南中国海の関連国を援助する資源・資金を出せなくなるかもしれない。南中国海問題において、ASEAN諸国は一枚岩ではない。多くのASEAN諸国は、中国に対抗する統一戦線の構築に熱心ではなく、さらには反対している。ベトナムやフィリピンであっても、その国内では中国に強硬な姿勢を示すことが完全に支持されているわけではない。また中国とASEAN諸国の間では、人員・資金などの行き来が密接で、相互間に力強い交流ルートがある。それにも関わらず日本が東南アジアで価値観に基づく同盟、もしくは民族主義勢力を利用し中国に対抗しようとしても非現実的だ。
それから、日本は中国とASEANの一部の国の間にある食い違いを利用しようとしているが、この食い違いが永遠に存在するとは限らない。中国は1990年代、交渉により陸上の大半の国境問題を解決した。中国はこの経験により近い将来にも、関連国と南中国海問題を適切に解決するプランを手にするだろう。そうなれば、中国とASEANの関係は、スムーズに発展することになる。「海のアジア」の中心になるという願いよりも、日本は中日関係が悪化し、中米の協議、中国・ASEANの緊密な協力で蚊帳の外に置かれるという、別の結果に直面する可能性のほうが高い。
最後に、外交政策の面から見て、米国は南中国海問題で中国と交渉し、取引することができる。ベトナムやフィリピンも可能だ。中国との交渉・取引の基礎を持たないのは、日本だけだ。これは日本の南中国海政策が脆弱である、根本的な原因だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年7月8日