日本の参院選の投開票が10日、行われた。共同通信の11日未明の報道によると、「改憲勢力」がすでに3分の2以上の議席数を獲得した。これは安倍首相が国会で「改憲のハードル」を突破できることを意味する。改憲を実現させるためにはまだ国民投票を通過する必要があるが、この大きな一歩により海外、特にアジアの隣国は日本軍国主義の復活への警戒を再び強めざるを得なくなった。
改憲前、かつてなき新段階
共同通信は10日、自民党は今秋の臨時国会から、改憲項目の議論を開始する構えだ。自民党は野党から理解されやすい、他国からの武力攻撃と大型災害に備える「緊急事態条項」などから着手する。しかし民進党と共産党は安倍政権との対決姿勢を示している。公明党は選挙公約の中で憲法に触れるのを避けており、与党内にも「温度差」があることが分かる。
上海外国語大学日本文化経済学院の廉徳瑰教授は10日、「これは戦後日本が改憲動議に向け大きく一歩踏み出したことを意味するが、改憲が直ちに実行されることはない。国会議員の3分の2は改憲動議を出すことしかできず、最終的に改憲をするかは国民投票によって決まる。長年に渡り、日本人の改憲支持派が半数を超えたことはない。しかも改憲勢力は衆参両院で3分の2の議席を獲得したが、その全員が改憲に賛成とは限らない。自民党内には多くの反対派がおり、党則では選挙期間に所属党に投票するよう定められている」と話した。
アジアの隣国、日本を警戒
共同通信は10日、参院選の結果が安倍政権の運営および外交政策に及ぼす影響に、各国が注目していることに注意した。
ロイター通信は、「日本の平和憲法は自衛隊の海外活動を制限している。安倍首相がこれに関する項目を改正するならば、中国との関係を緊張化させるだろう。中国では依然、日本軍国主義の記憶が、人々の憤りを呼び覚ましている」と伝えた。共同通信は韓国大使館の関係者の話として、「改憲が現実味を帯びれば、韓国の輿論はこれを歴史問題と結びつけて日本を批判するだろう。反日ムードが盛り上がる可能性がある」と報じた。10日付韓国・ソウル経済新聞は「安倍の野心:日本が戦争発動に向け一歩前進」という見出しで態度を明らかにし、「多くの専門家は、安倍首相が平和憲法9条の廃止に直ちに取り組む可能性は低いとしているが、アジアの隣国は日本軍国主義の復活に警戒感を強めている。未来の北東アジア情勢は、より大きな不安定に直面するだろう」と論じた。
10日付韓国・毎日経済新聞は「安倍首相の極右的な行為が、さらなる推進力を手にした。今回の選挙結果は、改憲を宿願とする安倍首相の行動を示している。安倍首相はこれまでも、このような意図を何度も明らかにしていた。安倍政権が改憲を敢行したならば、中国と米国の海洋支配権の争奪、朝鮮のミサイル、米日軍事同盟の強化という背景の下、さらに日本が戦争を発動できる国になることで、北東アジアの軍備競争が展開される可能性を否定できない。さらにより緊張した対立の局面が生じる可能性もある」と厳しく批判した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年7月11日