日本メディアによると、日本は2日に新たな経済刺激策を閣議決定し、アベノミクスを再開し日本経済のデフレ脱却を目指している。中国社会科学院日本研究所所長補佐、研究員の張季風氏は、新華社の独占インタビューに応じた際に、この計画は急場しのぎであり、「日本経済に対して短期的に効果を発揮するが、長期的には害をなす」と述べた。張氏は次のように分析した。
新たな経済刺激策の総規模は28兆1000億円で、インフラ整備、人口構造の改善、低所得者への支給、英国のEU離脱により影響を受ける中小企業への低金利融資、震災後の復興再建の支持などに充てられる。この経済刺激策は、新しい内容がない。日本は1992年より、約20回に渡りケインズ主義的な経済刺激策を打ち出してきた。今回の投資は2009年の56兆8000億円、2008年の37兆円に次ぐ規模だが、日本のこれまでの類似する投資は、予想通り日本経済に転機をもたらすことはなかった。
日本政府がこの時期に経済刺激策を打ち出したことには、主に4つの原因がある。
(一)アベノミクスの「3本の矢」「新3本の矢」が効果を失った。アベノミクスの実施後、日本経済は好転していない。経済成長率を見ると、2013年度の日本の実質GDP成長率は2%で、2014年度はマイナス1%、2015年度は0.8%、3年平均で0.6%。過去20年間の実質GDP成長率は年平均0.9%。
(二)日本の金融政策が、打つ手なしとなった。量的緩和を見ると、日銀のマネタリーベースは405兆円に達する。日本のGDPは約500兆円で、資金供給量がGDPの8割以上となっている。これは非常に危険だ。質的緩和を見ると、日銀は日本の3分の1以上の国債を購入しており、すでに上限に達している。この財政危機を金融化させようとする手法も非常に危険だ。
(三)英国のEU離脱が世界金融市場・資本市場に影響を及ぼした。英国のEU離脱の情報が伝わると、日本の株価が下落した。今後も英国で投資活動を行う大手日本企業1000社以上に大きな影響が及ぶ可能性がある。
(四)平和憲法改正の目標実現に向け、国民の支持を得る。しかし改憲にはまず憲法改正草案を提出し、さらに衆参両院の3分の2以上の議員から賛成を得た上で、国民投票で過半数の賛成を集めなければ成功とはならない。日本の改憲勢力は7月の参院選で大勝を収め、国会で改憲動議を出すため必要な3分の2の議席を占めた。今後の国民投票という関門を順調に通過するため、安倍政権は国民に実益をもたらし、日本経済を短期間内に好転させる必要性に迫られている。
この経済刺激策は短期的には効果を発揮するが、長期的には害をなす。日本経済にとっては急場しのぎに他ならない。その総規模は28兆1000億円で、日本のGDPの5−6%に達する。日本政府はこの経済刺激策により、2年内に実質GDP成長率を約1.3%引き上げられると見込んでいる。仮にこの目標が実現されたとしても、巨額の投資と比べれば説得力を持たない。財政政策は短期的な効果を生む政策だが、日本経済の根本的な問題は、長期的に蓄積された構造問題だ。日本政府の今回の経済刺激策は、日本経済の構造問題に触れておらず、むしろ日本の財政負担を大幅に拡大する。この計画により日本経済の困難な局面を変えられるとは思えない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年8月12日