NHKは10日、韓国の終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備問題により中韓関係が緊張化するなか、日本の防衛省もTHAAD導入の検討を急ぐことを決めたと報じた。日本国内では、仮にTHAADを導入するとしても、5カ年の中期防衛力整備計画が2018年に終了した後と考えられていた。報道によると、防衛省の决定は、この時期を2018年より前倒しする可能性を意味する。
日本がこの時期にTHAAD導入の前倒しに関する情報を伝えたのは、中韓の摩擦に茶々を入れるためだ。中国対抗は、日本の外交の主軸になったかに見える。
日本のTHAAD配備は確定的で、時間の問題とされている。朝鮮が1998年にテポドンを発射した際に、日本は米国のミサイル防衛システムに加入した。日本はすでに、米国の世界ミサイル防衛システムの一部となっている。THAAD配備により日本のミサイル防衛能力が強化される。米日が合意すれば、このアップグレードを阻止する力はない。
米国はミサイル防衛システムを、世界のすべての重要な位置に配備することで、最終的に世界のミサイル防衛システムを支配するという野心を持っている。このシステムの目標は、ロシアと中国のすべてのミサイル活動を監視し、ロ中に対するミサイル迎撃の成功率を大幅に高めることで、両国の米国に対する核抑止力を瓦解させることだ。
この「世界ミサイル防衛システム」は力強い政治の絆となり、米国の総合的な実力が相対的に低下する時代に、同盟国との関係を強化する。例えば中韓両国の貿易額は韓米・韓日の貿易額の合計を上回っている。中韓の交流の全面的な深化は、韓国の中米間での立ち位置、利益関係に関する認識に影響を及ぼしうる。しかし米国が韓国をTHAADシステムに巻き込むことで、状況に瞬時に変化が生じた。韓国はよりしっかりと、米国側に縛り付けられた。
実際には、ミサイル防衛システムの実戦的な意義については不明であり、実際に用いる段になれば、北東アジアは恐らく全面的な戦乱に陥っていることだろう。現在は平和な時代であり、ミサイル防衛システムは地政学的ツールとしての役割を果たしている。その物理的な作用は一方の平和を守り、進攻目的の殺傷力の高い武器の効果を失わせることだ。しかしこれは理論上のことにすぎない。実際には、核兵器の時代に双方が迎撃能力を持つことで一種の均衡状態が生まれ、平和の真の基礎になる。ミサイル防衛は安心するためのものであり、本当に相手側の核抑止力を麻痺させようとするならば、これはバランスに対する無謀な挑戦と言える。これがもたらすのは平和ではなく、新たな動乱だ。
米国は信頼性の高い世界ミサイル防衛システムを構築できない。進攻目的の武器の発展がめざましく、超音速運動エネルギー弾、多弾頭技術、無人機技術が進展と改善を続けている。これは米国のミサイル防衛システムを脅かしている。これらのすべてが検証不可なため、米国のミサイル防衛システムが形成する勢いは、国際関係の風向きに大きな影響を及ぼす。これは時に、人の心を刺激するテーマになりうる。
中ロは戦略兵器の攻防をめぐり協力し、米国の世界ミサイル防衛システムの威信を地に落とすべきだ。両国はTHAADを突破する訓練を試み、さらに両国の戦略核兵器の攻撃力についても交流し、米国と同盟国が盛り上げる「THAAD外交」をけん制しても良いだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年8月12日