日本の安倍晋三首相は26日、訪日したフィリピンのドゥテルテ大統領と会談した。会談後に発表された声明によると、日本は政府開発援助(ODA)を通じ、フィリピンに大型巡視船2隻を供与することになった。
外務省が発表した日比首脳会談声明と日本の「フィリピンに対する円借款に関する書簡の交換」によると、日本は金利0.1%(年)で、フィリピンに164億5500万円の円借款を提供する。これは主に、フィリピン沿岸警備隊に大型巡視船2隻を供与するため用いられる。また日本はそれに先立ち、フィリピンに巡視船10隻を供与することを約束していたが、これについても履行を続ける。フィリピンは今年8月、海上保安庁の中古巡視船10隻の1隻目を交付されていた。
フィリピンは日本が巡視船を「派遣」する唯一の対象国ではない。日本メディアによると、日本政府は19日、マレーシアに年内にも中古大型巡視船2隻を供与する方針を固めた。ベトナムもまた、日本の巡視船「派遣」の対象国になっている。岸田文雄外相は今月5月にベトナムを訪問した際に、ベトナムの海上警備能力を高めるため、巡視船供与のペースを加速すると約束し、かつベトナム沿岸警備隊の共同育成への参与の意向を示した。
日本があちこちに中古巡視船を「派遣」しているのは、海上保安庁の装備が集中的な更新を迎えているためだ。朝日新聞の今月の記事によると、海上保安庁の現役巡視船366隻のうち、129隻が耐用期間を過ぎており、廃棄処分を待つ「老朽船」の状態にある。現状を見ると、海上保安庁の「老朽船」の割合が、5年後に過半数を超えることになる。日本は近年、新型巡視船を優先的に釣魚島(日本名・尖閣諸島)付近の海域に配備している。
日本政府は2013年12月、初めて制定した国家安全保障戦略の中で、ODAを積極的かつ柔軟に、戦略的に運用していくとした。これはODAを安保に用いることをほのめかしている。日本政府は2015年2月、新たな「開発協力大綱」を決定し、他国軍への「非軍事目的」の援助を初めて明確に認めた。
上述した措置は、日本がODAを利用し他国に「海洋能力建設」などを提供するため、基礎を固めた。これには海上保安庁の老朽化した大量の巡視船を、ODAにより東南アジア諸国に供与することが含まれる。日本は近年ODAを利用し、ベトナムやフィリピンなどに巡視船を提供しており、かつその多くが改造済みの中古船となっている。
同時に日本は海上保安庁の新型巡視船の建造を加速している。海上保安庁は8月、総額674億円の2016年度第2次補正予算案を提出し、主に新型巡視船6隻を建造するとした。これにはヘリ搭載可能な大型巡視船2隻が含まれる。
日本が一石二鳥の効果を目指し、巡視船を海外に「派遣」していることは明らかだ。まず海上保安庁の巡視船の更新を加速し、東中国海で中国の巡視船に対抗する。次に、読売新聞などのメディアが伝えているように、安倍政権は東南アジア諸国に巡視船を提供することで、その南中国海での海上警備能力の強化を支援し、中国の海洋行動をけん制しようとしている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年10月31日