「南京大虐殺の犠牲者は30万人を超える。これは法的な判決であり、歴史の定説であり、変えることはできない」。中国侵略日本軍南京大虐殺遇難同胞記念館の朱成山・元館長は15日に東京で行われた南京大虐殺79周年記念の証言集会で、日本の市民に向けて、歴史的史料の収集に取り組んできた数十年にわたる苦難の経験を語るとともに、詳細で豊富な史料によって日本の右翼勢力の史実の否定をもくろむ言論に力強く反論した。
この集会は日本の市民団体「ノーモア南京の会」が主催したもの。歴史の真相を理解したいと願う東京の市民は極寒の気候にも関わらず仕事帰りのラッシュの中を会場まで足を運んだ。定員100人ほどの会場は満席で、車いすに乗った障害者の姿もあった。
朱さんと南京大虐殺の生存者・夏淑琴さんは1994年、日本の市民団体「銘心会」の招待に応じて訪日し、東京、横浜、広島などを訪れ、南京大虐殺をめぐる講演会や証言集会を行った。その後、日本の市民団体が毎年、生存者を招待し、日本の各地を訪れて現地の市民たちと顔を見合わせての交流を行うようになった。2015年までに60人を超える生存者が訪日し、日本の人々に自らの体験を語り、歴史の真実を伝えた。現在、登録された生存者はわずか107人で、平均年齢は85歳を超える。健康上の理由により、今年の証言集会には生存者を招くことがかなわず、証言ビデオを放映するという手段を取った。
朱さんは集会で、同記念館の館長時代にたびたび海外に行って調査したり証言を聞き取ったりした経験を話した。史料の記載によると、南京大虐殺の発生後、慈善団体が埋葬した遺体は18万5千人、個人が埋葬した遺体は3万5千人、日本軍が損壊して証拠隠滅をはかった遺体が15万人で、各種の埋葬記録の人数を合計すると38万人になる。朱さんは、「大虐殺の犠牲者は30万人を超えることは確実で、『これより多くなることはあっても、少なくなることはない』。より重要なことは、数の問題は南京大虐殺の性質をはかる尺度ではなく、1人でも虐殺すれば必ず責めを負うべきだということだ。だが数の問題は虐殺の規模や程度に関わるため、科学的に、史料に基づいて、実事求是の態度で考証を進めなければならない」と述べた。
日本政府は一貫して、中国侵略日本軍が30万人を超える南京市民を殺害した事実を認めようとしない。朱さんは、「日本軍が南京で同胞30万人以上を虐殺したというこの数字は、極東国際軍事裁判と南京軍事法廷で認定されたものだ。日本の右翼勢力はデータを改ざんし、当時の南京の安全区域の面積を南京市全体の面積に置き換え、安全区域の人口を南京市の人口とし、概念をすり替えることによって、人に言えないような目的を達成しようともくろんでいる」と述べた。
朱さんは、「昨年退職してから、世界に向けて南京大虐殺の歴史の真相を語るのをライフワークとしている。今年12月以降、まず大阪、神戸、名古屋などで11回の講演会を行い、どの集まりにも現地の人々が多数参加してくれた。日本社会はさまざまな面で構成されており、歴史を否定し抹殺しようとする右翼勢力も確かに存在するが、歴史を認め、歴史に耳を傾けてともに教訓をくみ取りたいと考える日本人も非常にたくさんいる」と述べた。
集会を企画した甲野信夫さんは、「多くの日本人が真実の歴史を伝えようと努力している」と述べた。以前、高校の社会科教諭をしていた甲野さんは歴史的史料を収集する中で、当時の普通の日本人が軍隊に入り、ひとたび戦場に足を踏み入れると、たちまち悪魔に姿を変え、無惨で非人道的な殺戮行為を行うということに気づいた。だが多くの日本人はこうした状況を知らない。そこで甲野さんは「南京大虐殺証言集会」をたびたび開催し、日本の人々に歴史の真相を理解してもらいたいと考えるようになった。歴史を心に刻むのは二度と戦争を起こさないためだという。
朱さんは日本の安倍晋三首相が米国ハワイの真珠湾を訪問することについて、「第二次世界大戦でアジアでの起点となった戦場は真珠湾ではない。日本軍は1931年に中国東北地域を侵略し、1937年には盧溝橋事件を起こして全面的な中国侵略をスタートさせた。安倍首相はハワイに行って『政治ショー』をするのではなく、南京に来て謝罪をするべきだ」との見方を示した。
「人民網日本語版」2016年12月17日