内政に目を向けると、連立与党の国会での優勢を考えれば、安倍首相の道のりがよりスムーズなものであることは間違いない。すでに戦後3番目の長期政権を築いている安倍首相は、さらに2021年まで首相の座にとどまる可能性もあり、そうなれば日本史上で任期最長の首相となる。
自民党率いる連立与党が国会で絶対多数を占めていることは、野党に対する安倍首相の強硬姿勢を可能としている。だがこれは、安倍首相が内政においてやりたい放題だということは意味していない。今年は少なくとも、安倍首相にとってはおもしろくない二つの事件があった。一つは、自民党の小池百合子氏が党の決定に反し、「造反」して東京都知事選に参加し、当選したことである。小池派の候補は東京都の一連の選挙で勝利しており、新たな勢力が形成されつつある。安倍首相は、民意の反発を回避するためには、造反した小池氏を党紀処分することもできず、その勢力がますます拡大するのを見ているしかない。
安倍首相がなすすべをなくしているもう一つの出来事の主役は日本の天皇である。明仁天皇は近年、天皇の座からの「退職」したいとの希望を外部に伝え続けて来た。今年8月には、公開メッセージで「辞意」を表明した。天皇が退位を求めた原因の一つは、平和憲法の改定と歴史問題について安倍首相に多くの不満を持っていることともされている。この点を裏付けるのは困難だが、天皇の退位は安倍首相にかなりの精力を割かせることとなり、安倍首相の改憲プロセスに一定の影響を与えるものと考えられる。
安倍首相の2016年の取り組みを振り返ると、その勤勉さは否むことはでkない。だが中国には、「過猶不及」(過ぎたるは及ばざるがごとし)との言い伝えもある。中日関係のような問題においては、まずは態度をただし、方向を見定めなければ、いかなる行動も目論見をはずれ、逆効果を生むことにさえなりかねない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年12月21日