日本の安倍晋三首相は本日と明日ハワイを訪問し、アリゾナ記念館を見学し、真珠湾事件の犠牲者を慰霊する。同館が日本の侵略の記憶を担っているため、安倍首相は南京大虐殺紀念館にも訪問するべきだとする声もある。
安倍首相はなぜハワイを訪問を決定したのだろうか。まず、これはオバマ大統領の広島訪問への返礼だ。オバマ大統領は今年5月の伊勢志摩サミットに出席し、広島平和記念資料館を訪れ、「第二次大戦のすべての犠牲者」を追悼した。今年は真珠湾事件75周年であり、安倍首相は返礼としてハワイに訪問し、類似する活動を行うべきだと主張する声が当時からあった。
次に、これによりトランプ氏に、日米同盟の重視を促す。トランプ氏はオバマ大統領の広島訪問を真珠湾事件への軽視と批判し、「この事件で数千人の米国人が命を落とした」と表明した。さらにトランプ氏はこの1年間に渡り、日米同盟を軽視する発言を繰り返し、安倍政権を不安にさせている。トランプ氏が次期米大統領に当選すると、安倍首相は直ちにニューヨークを訪問し会談し、さらにさまざまなコネを使い、さまざまな場で日米同盟の特殊性と重要性を強調した。トランプ氏が就任後、日本の外交の礎を揺るがすことを懸念した。
安倍首相は今回のハワイ訪問で、トランプ氏就任後の両国関係への悪影響を取り除き、さらに日米同盟の重要性を強調し、アピールしようとしている。岸田文雄外相が述べたように、今回の訪問には「日米の和解を印象づける価値」がある。安倍首相の最大の目的は、言うならばトランプ氏に友好的な姿勢を示すことだ。
注目すべきは、米国の第二次大戦の被害者でつくる団体が安倍首相に謝罪を求めるなか、ホワイトハウスが「日本は謝罪すべきだが、良好な同盟関係を維持することの方が重要だ」と表明したことだ。
オバマ政権は現在の境遇により、安倍首相の訪問に対して極めて寛容になっている。まず任期満了まで1ヶ月もなく、ホワイトハウスはオバマ大統領の「和解の外交」を締めくくる必要がある。次に米国の親中派は、トランプ氏が就任後に戦略を縮小し、米国の既定のアジア太平洋戦略を変更することを懸念している。「和解のみで、謝罪しない」は、オバマ大統領の広島訪問前の米国の公式声明を、日本政府が真似しているだけのように見える。しかし詳細に分析すると、その思想の原点となっているのは、安倍首相の「第二次大戦の結論は戦勝国が決めたもの」という考えだ。
真珠湾奇襲は太平洋戦争を勃発させた事件であり、ハワイでは毎年、関連する追悼式が開かれている。加害国の現職の首相が訪問前に、謝罪しないと大々的に宣伝するのは極めて稀であり、日本が現在も侵略の歴史を直視していないことを説明している。いわゆる「和解の外交」も、「和解」の本質を曲解し、犠牲になった同胞の感情を損ねている。しかしながら、これは安倍首相の検討の範囲内にない。安倍首相のハワイ訪問の最終目的は、未来の米大統領の機嫌を取ることにある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年12月26日