米国の無人潜水機を中国が回収したことについて、日本の菅義偉内閣官房長官は19日、中国はこの事件について、「国際法上の根拠を含めて国際社会に明確に説明する必要がある」と語った。中国外交部の華春瑩報道官はこれに対し、「日本は心配しすぎだ。この事件は日本と関係あるだろうか」と語った。中国国際問題研究院の楊希雨研究員は中国中央電視台(CCTV)の取材に対し、「日本は、潜水機の事件を中米両国が短期間で適切に処理したために、南中国海に介入して『集団的自衛権』を行使する機会を逸したと失望している」との見方を示した。米国は中国に対して頻繁に接近偵察を行っており、中国側は対応手段を強化する必要がある。
国防部新聞局の情報によると、中米両国は友好的な協議を経て、米国の無人潜水機の引き渡しを南中国海の関連水域で20日昼に順調に完了した。
だが中米両国が潜水機事件を順調に解決したことは、日本の一部の人々を失望させている。『日本経済新聞』は20日、事件は「5日目での早期解決」となり、これで事態は沈静化すると見られるが、「この海域で米中の火種がくすぶっていることを改めて示した」とした。『読売新聞』は、中米両国には「武力衝突が起きかねない」とし、日本はこれを「認識しなければならない」と強調した。
楊希雨研究員は、「無人潜水機事件で中米関係の緊張が高まることを日本は望んでいた」と指摘する。そうなれば南中国海に介入する理由もできる。さもなければいわゆる「集団的自衛権」を行使する口実はない。安倍首相は、自らの任期中に自衛隊の海外展開を大きく進めたい考えだが、この願望を実現するには「周辺有事」が必要となる。中米両国が5日間で潜水機事件を解決したことは、中米関係が成熟と安定に向かっており、両国の遭遇する各種問題を処理するための十分な政治的意欲と知恵を双方が持っていることを示している。日本にとっては「周辺無事」の結果となってしまうため、日本はたまらず飛び出してきて中米両国への「心配」を口にしたのだ。