関連予算を順調に成立させるため、安倍首相本人を含む日本の高官は最近、「中国の脅威」にたびたび言及し、日本の安保情勢がいかに「深刻」であるかを誇張している。海上自衛隊元海将の「日本の大戦略は、中国の抑止だ」という言葉は、安倍政権の対中戦略の心理をずばりと言い当てている。
緊張の誇張は、安倍政権の常套手段となっている。稲田朋美防衛相は22日、防衛費が過去最大となったことについて「わが国が現在直面している深刻な安保環境を鑑み、わが国の防衛の質と量の充実化に取り組む必要があると判断した」と回答した。安倍首相はその前日、釣魚島(日本名・尖閣諸島)周辺の警備体制の強化について議論する初の閣僚会議で、「中国の脅威」を大きく取り上げていた。
中日関係は全体的にやや改善されているが、日本当局の中国への敵意は払拭されていない。今月上旬に発生した日本の戦闘機による中国軍機への干渉、中国が米国の潜水艇を拿捕したことに対する日本の数日前の「口出し」などは、中国への敵意と偏見を浮き彫りにしている。日本情報サイト「日本新聞網」は「北方四島(ロシア名・南クリル諸島)の領土問題でつまずいた安倍首相は、釣魚島への管理を強化することで、領土を守るという決意を示そうとしている。しかし日本政府が釣魚島の防衛を強化すれば、中国政府の反発を引き起こすことになる。2017年の釣魚島情勢は、緊張化する可能性がある」と伝えた。
22日付ウォール・ストリート・ジャーナルは「日本でこのほど決定された防衛予算のうち、ミサイル防衛に650億円が充てられる。これには米国と共同開発する、艦載ミサイル迎撃システムが含まれる。日本はさらにその他のミサイル防衛のアップグレードを検討しており、米国からTHAADを導入する可能性がある。韓国は来年THAADを配備するが、中国はこの措置に強く反対している。このシステムの捕捉範囲が、中国にも及ぶからだ。日本は中国の東中国海における存在に直面し、ソナーシステムを改良した新型潜水艦の建造に730億円を計上している」と報じた。金沢工業大学教授、海上自衛隊元海将の伊藤俊幸氏は「日本の大戦略は、中国の抑止だ。中国にミスをすれば大きな犠牲を強いられることを常に見せつけることで、戦争を回避するのだ」と述べた。
中国社会科学院日本研究所の学者である盧昊氏は22日、環球時報の記者に対して「軍事安全面でこれほど中国を意識しているのは、日本だけだ。日本の防衛予算が増加を続けているが、その問題意識と方向調整の多くが中国に向けられている。防衛予算の増額により、日本のハード面の軍事力、特に日本が中国に備える南西防衛ラインが強化される。中国との陸海空さらには宇宙などの、新旧の戦略的前線の主導権を握ることが、その基本的な目標だ。日本はいわゆる自衛能力の強化のため、資源を投入し続ける。同時に米国と共同で、西太平洋の第一列島線の軍事的主導権を維持する。米国のアジア太平洋政策は変化する可能性があり、日本の対中包囲網の構築も紆余曲折を経ている。この状況下、日本の中国に対する警戒心・対抗心が逆に刺激され、強化の傾向を示している」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年12月23日