回復の兆しを見せていた日韓関係が最近、谷間への再転落のリスクに直面している。
回復から急速な冷え込みへ
韓国南部の釜山にある日本総領事館前の歩道に韓国の市民団体が、慰安婦を象徴する少女像を設置した。日本の公館前に韓国側によって少女像が設置されるのは、ソウルの日本大使館前に続く動きとなる。安倍政権はこれに対し、一連の対抗措置を取った。長嶺安政大使と森本康敬釜山総領事は一時帰国を命じられた。釜山総領事館の職員は、釜山市での活動への参加を一時取りやめた。金融危機の際に韓国とドルなどの通過を交換する通貨スワップ協定の再開に向けた交渉は停止された。日韓のハイレベル経済協議は延期された。
これまでの双方による熱心な相互交流とは鮮明な対照をなす流れだ。日韓両国政府が2015年12月末、元慰安婦の支援について合意を達成すると、双方関係には、明らかな回復の兆しが現れていた。日本側は、ソウルの日本大使館前の慰安婦少女像の撤去を前提とせずに、「癒やし金」として韓国に10億円を拠出することに同意した。
両国政府はまた2016年11月末には、「軍事情報保護協定」に署名した。協定署名後、日韓双方は、米国を経ることなしに迅速に情報共有を行うことができるようになった。聯合ニュースは、韓日両国は、両国の軍事協力のさらなる深化のための大きな一歩となるとした。
「日本の反応は過敏」
「この問題に対する日本の反応は過敏すぎる」。外交学院国際関係研究所の周永生教授はこう分析する。「今回の慰安婦銅像設置は、韓国の元慰安婦関連団体と民間組織の自発的行為であり、政府レベルの决定ではない。日本が高圧的な政策で韓国政府に譲歩を迫ろうとしても、逆の結果を生むだけだ」
古傷がまた開いたのには、さまざまな原因がある。「最も大きいのは、慰安婦問題を『最終』かつ『不可逆的』に決着させるという日韓両国の2015年末の決定が、政府レベルの合意にすぎなかったということだ。韓国の民衆の間では、日本が法律レベルで謝罪と賠償を行わないことに不満が高まった」。周教授はさらに、「朴槿恵弾劾事件も、日韓合意に対する韓国の民衆と野党の反対の声をますます高めた」と指摘する。聯合ニュースの報道によると、韓日慰安婦合意の達成一周年には、韓国野党が、屈辱的な合意は撤廃し、再び協議せよと訴えた。
両国関係にはまだ変数
「日本が韓国政府への信頼を完全に失ったと断じるのは時期尚早だ」と、中国軍事科学院外国軍事研究部の江新鳳研究員は分析する。「日本は近年、政治・経済・安全上の必要性から、韓国を味方につけようとして来た」。
「韓国に対する安倍政権の強硬な態度は、韓国政府の混乱と弱腰を目にして、韓国政府は内外の二重の圧力の下で身動きが取れないと判断してのものだろう」。江新鳳氏は、「日本の強気の姿勢はこれまで一貫してきた。両国関係が今後どうなるかは、韓国と周辺国の反応を見る必要がある」と語る。
聯合ニュースの報道によると、韓国外交部の趙俊赫報道官は、韓国の民間団体による慰安婦銅像の新設に抗議して日本政府が駐韓大使を帰国させたことに対して遺憾を示し、「両国は難題に直面しているが、双方の政府はいずれも、相互信頼を土台として、両国関係を引き続き発展させていかなければならない」と強調した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年1月15日