日本を訪れた中国人観光客は、宿泊先のアパホテル(東京)の客室内に、アパグループCEOによる右翼書籍が置かれていることに気づいた。書籍は南京大虐殺と韓国の慰安婦の存在を否定し、かつ「いわゆる日本が犯した罪は、米国が原爆投下のため捏造した嘘」としている。観光客は12日、環球時報のインタビューに応じ、さらに撮影した動画をネット上で公開した。その内容は中国のネット上で怒りを買った。
アパホテルはチェーンホテルで、日中韓の多くの観光客を毎年迎え入れている。同ホテルの客室内の引き出しには、同グループ元CEOの元谷外志雄氏が執筆した『誰も言えない国家論』や『誇れる祖国「日本」――日本復活の提言』などの右翼書籍が置かれている。いずれも日本語版と英語版がある。ネットで検索すると、元谷氏が日本の右翼の活動に参加しているという、関連情報が見つかる。
本件発覚後、旅行会社(中国人が日本で経営)は同ホテルとの提携を解消し、中国人観光客を宿泊させないようにした。
中国社会では、政治問題により制裁措置を軽率に講じるべきではない、という態度が主流だ。しかしアパホテルの手法は中韓の観光客をまったく尊重しておらず、意図的に精神を傷つけている。これは観光業の基本的な道徳に著しく反しており、何があっても許されるべきではない。
中日は領土・歴史問題などをめぐり大きな食い違いがあるが、大多数の中国人は日本の外交政策への反対を、個人や日本人との交流に持ち込まない。訪日中国人客が近年激増しているが、これは観光客の日本に対する正常な交流の気持ちを示している。中国の与論全体は、中国人の訪日旅行ブームに不満を表していない。これもまた中日の政治関係が冷え込む今日、民間が日本との交流に依然として「平常心」を維持していることを反映している。
中日民間交流に政治を持ち込むべきではなく、中日の社会はそのため共に取り組むべきだ。アパホテルは政治の旗をすべての客室内に立て、常に日本の右翼の歴史観を宣伝しようとしている。各国の観光客を、宣伝の対象にしている。
各国のホテルは宿泊客にサービスを提供することを主旨としている。メディアに提供するのでなければ、客室内には通常、ホテルのガイドや観光の関連資料しか置かれていない。アパホテルの手法は世界のホテルでも極めて稀であり、日本のホテル業および観光業全体の恥であるはずだ。