在英日本大使館が英シンクタンク「The Henry Jackson Society(HJS)」に毎月1万ポンドを支払い、記者と政府関係者に中国を批判させるよう働きかけたというスキャンダルの余波が、なおも広がり続けている。5日付英サンデー・タイムズ紙によると、元英海軍高官も、HJSが作成する中国の南中国海の主張を批判する文書に署名した。文書は「台頭中の大国が重要な航路の支配権の強奪を検討していると考えると、これに同意することはできない」とした。
サンデー・タイムズによると、HJSの諮問委員会の委員を務める同氏は同シンクタンクを批判し、日本からの資金援助を受けていることを知っていれば署名することはなかったと表明した。「金を受け取り、私の名声を看板にする組織の委員会で働くつもりはない」
英メディアによると、リフキンド元外相もHJSと在英日本大使館の関係を知らず、同シンクタンクから提供された中国を批判する文章に署名した。HJSは圧力を受け、リフキンド氏に謝罪した。
HJSの謝罪はあいまいで、リフキンド氏に署名した文章に目を通させたと弁解したが、一部の罪を認めたと言える。最も驚くべきは、日本側が本件発覚後もだんまりを決め込んでいることだ。在英大使館と外務省は、英国で大問題になっているこのスキャンダルにいかなるコメントも発表せず、またHJSとの間に表沙汰にはできない取引があったことも認めていない。
日本メディアはこれまでどんなスキャンダルでも報じてきたが、主流メディアは今回なんと集団で沈黙している。日本に駐在する環球時報の記者は現在まで、日本の正規メディアが本件を報じるのを目にしていない。日本の国際的なイメージを損ねる情報を伝えるなという、外務省の指示によく従っているという可能性がある。
国益をめぐる日本メディアのこの一致性は、中国メディアを驚かせている。これは日本メディアが普段標榜している「報道の自由」とはあまりにもかけ離れており、不可解なほどだ。日本メディアはなぜこれほど「お利口」になっているのか。その「報道の自由」とは、「日本メディア大サーカス団」の手品でコロコロ変わるのだろうか。 外務省と在英大使館には外に出て、英国の複数の高官が不満を持ち憤っているこの取引について説明してもらおうではないか。また日頃より「報道の自由」をひけらかす日本メディアは声を出し、在英大使館がどのようなスキャンダルに巻き込まれたのかを読者に伝えるべきだ。
すべての国の在外公館は、自国の状況がその国で客観的に報じられることを促進しようとするが、金を使い現地の組織を買収し、第三国に狙いを定めて中傷するのは、世界で日本だけだろう。少なくとも世界メディアはこれまで、類似するスキャンダルを報じたことがない。 日本には他にも現地の組織に金を与え、中国批判の勢力を集めるよう指示している在外公館が、あとどれほどあるのだろうか。それから日本人のこの「外交の革新」は、いつから始まったのだろうか。外務省は学習塾を開き、競争相手の存在する国に経験を伝授し、外交官に「すべきこと」を教えてはいかがだろうか。
日本の外交官はきちんとし礼儀正しく見えるが、一部の人間が現地メディアに手渡す、中国を批判する文章がびっしり書かれた紙をポケットに入れていたとは、誰が想像できただろうか。本件は日本の外交を活き活きと見せるアクセントのようだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年2月7日