米国のマティス新国防長官が3日訪日し、日本の安倍晋三首相と約50分会談した。マティス長官は「釣魚島は日本の施政の下にある領域であり、日米安保条約5条の適用範囲だ」と明言し、「米国は、釣魚島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する」と表明した。マティス長官の発言は、前オバマ政権の立場を踏襲している。米国防総省も3日、マティス長官は安倍首相との会談で、尖閣諸島が日米安保条約5条の適用範囲であることを確認したと発表した。
新政権発足から間もなく同条約の適用を確認したことについて、日本政府の関係者は「パーフェクト」とし、トランプ新政権のアジア太平洋事業への参与の不確定性が下がったと判断した。日本政府は海軍出身の、在日米軍の実情に詳しいマティス長官に期待している。防衛省の関係者は「トランプ大統領がアジア安保政策をマティス長官に任せれば、混乱が生じることはない」と表明した。さらには、マティス長官が日米関係の崩壊を阻止する「守護神」になると判断する、日米の専門家もいるほどだ。
しかしトランプ大統領は選挙中、同盟国との関係を調整すると言及し、在日米軍経費の日本側の負担拡大を求めた。また米軍撤退の可能性と、日本の核兵器保有の容認をほのめかした。日本側では、米国が日本の防衛を、貿易と貿易政策をめぐる駆け引きの駒にするという懸念が広がった。
マティス長官はトランプ大統領から信頼されており、日米同盟に関する認識を確認したが、両氏の間には外交・安保政策の食い違いが存在し、かつトランプ大統領の腹心が国防総省と米軍の人事に介入し始めている。これはマティス長官を憤らせており、双方の関係が緊張化している。マティス長官とトランプ大統領の対立が深まり、影響力を十分に発揮できなくなる可能性もある。現時点で、すでに両氏の不穏な関係を読み取ることができる。対露政策をめぐる両氏の足並みの乱れは、1月12日の議会答弁で明らかになった。
そのため日本側は10日の日米首脳会談で、トランプ大統領本人の口から、日米同盟と釣魚島問題について、マティス長官と同じ認識を持つかを確認しようとしている。マティス長官との会談には、トランプ大統領と日米間に存在する具体的な課題について触れる前に、大統領から深く信頼されている長官と同盟の基礎を確認する狙いがあった。
最優先の同盟関係強化の話題に言及する前に、トランプ大統領は在日米軍の日本側の経費負担拡大を何度も強調した。日韓両国はこれについて、強い不信任感を抱いている。トランプ大統領は安保の歴史と現状を真剣に学ぶ様子を見せていない。日本は金銭面の負担拡大を求められれば、同盟関係が揺らぐ危機感が生まれ、同盟国間で不信任感が拡大し、同盟の協力に支障をきたすことになると懸念している。
防衛省の試算によると、2015年度の在日米軍駐留経費における日本側の負担割合は86.4%の約1910億円で、米国側は約300億円のみとなっている。日本側が負担する経費には、「日米地位協定」では米軍が負担すべき基地の職員の給与、水道・電気・ガス料金及び訓練移転費が含まれる。これは米国側への「思いやり予算」とされている。
そのためマティス長官は4日、日本の稲田朋美防衛相との会談後の合同記者会見で、日本政府の負担の現状について称賛し、「日本は経費負担の模範だ。日米間の経費分担は、他国のモデルになるだろう」とし、トランプ大統領とは正反対の立場を表明した。日本側はこれについて、ひとまず歓迎の意を表している。日本側はトランプ政権が、遅かれ早かれ本件を取り上げるという懸念を払拭していない。トランプ大統領が安倍首相との10日の会談で、マティス長官と日本の間で確認された事項を全面的に受け入れるかは未知数であり、注目を集めている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年2月6日