米国のジェームズ・マティス国防長官は2−4日に、就任後初の外遊を行った。マティス長官は日本で、釣魚島及びその付属島嶼(日本名・尖閣諸島)が、米日安保条約の適用範囲であることを明言した。
トランプ大統領は選挙中に、無駄な事業をカットするような態度を示していた。しかしトランプ政権は今回のマティス長官の訪問により、オバマ政権によるアジア太平洋戦略をほぼ踏襲かつ強化し、同盟国の安保責任拡大などにより同地域における軍事的な存在感を強化する方針を示した。トランプ大統領のアジア太平洋戦略が、ある程度示されたと言える。日本を「正常な国」にしようとしてきた安倍政権はこの機に乗じ、米国の圧力を理由に軍拡に乗り出すだろう。中国周辺の問題が、複雑化する可能性がある。
【ア太での存在感を強化】
韓国とのTHAAD配備に関する協議を終えたマティス長官は3日午後、日本に飛んだ。双方は一連の会談で、日米同盟の強化を継続することで一致した。マティス長官は「日本を初の訪問先の一つとしたのは、米国が米日関係を極めて重視しているからだ」と述べた。マティス長官は、米国は日本への核兵器による保護を続けると約束し、「アジア太平洋における介入を強化するのは、地域の平和と安定の基礎を保証するためだ」と話した。また釣魚島及びその付属島嶼は米日安保条約の適用範囲であるとし、オバマ政権の同問題の立場を踏襲した。
中国社会科学院米国問題専門家の刁大明氏は「マティス長官の今回の訪問は、オバマ政権のアジア太平洋戦略を踏襲しており、地域内の同盟関係の強化を目的としている。マティス長官本人の冷戦思考と先入観があり、アジア太平洋戦略を強化し中国への圧力を拡大する強い動機が存在する。これはタカ派らしい傾向だ」と分析した。
刁氏は「トランプ大統領は選挙中、アジア太平洋で縮小し干渉しないという、無駄な事業を切り捨てる態度を示していたが、就任後はオバマ大統領のアジア太平洋戦略をほぼ踏襲しており、さらには強化している。アジア太平洋リバランスが再び言及されることはないだろうが、トランプ大統領には独自のアジア太平洋戦略がある」と指摘した。
【日本が海外進出を継続へ】
マティス長官は以前、同盟国に負担を求める意向を示していた。3日の安倍首相との会談では、日本側に軍費負担拡大を直接求めなかったが、「日米両国は防衛能力をさらに強化する必要がある」と表明した。安倍首相はその場でマティス長官の要請に応じ「日本は防衛能力をさらに強化し、自国の演じる役割の拡大を目指す」と表明した。また集団的自衛権の行使容認を目的とする新安保法について言及し、マティス長官から高く評価された。
刁氏は「米国はアジア太平洋における存在感を強めようとしており、伝統的な同盟国との関係を強化する一方で、米国主導のアジア太平洋安全枠組みにおける、日韓の責任と義務の拡大を必要としている。在日米軍の経費負担拡大で日本が譲歩できる余地はあまりないが、日本により大きな責任を負担させようとするトランプ政権の戦略的な意図は、安倍首相の考えと合致する。日本をいわゆる正常な国にしようとしているからだ」と述べた。
「トランプ大統領のアジア太平洋戦略において、日本は米国の安全責任の分担を拡大する。具体的には南中国海で問題を起こし、東南アジアで仲違いを図るなどで、中国の周辺問題を複雑化させる可能性がある」
東洋学園大学の朱建栄教授(政治学)は「米国防長官は、米日安保条約が釣魚島に適用されると称し、過去の承諾を繰り返すことで、米軍基地の経費負担を拡大させようとしている。また日本の軍拡に圧力をかけ、米国のアジア太平洋戦略に協力させようとしている。安倍首相は防衛力をさらに強化すると表明した。これは米国の圧力を軽減し、トランプ政権との関係を修復・強化することができる。また米国の圧力を軍拡の口実にするという、戦後の一貫した戦略にも合致する。この動向には警戒が必要だ」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年2月6日