具体的な問題を見ていくと、米日間では齟齬が生じ続けており、真の共通認識を形成していない。トランプ大統領は就任後すぐ、アベノミクスの新たな動力と目されていたTPPからの離脱を宣言した。安倍首相は今回の訪米でTPPにまったく触れず、記者会見で質問された際にもコメントを避けるしかなかった。トランプ大統領は以前、日本との不平等な二国間貿易、日本の為替操作、輸入牛肉などの問題について批判していたが、これについて議論することもなく、双方の親密ぶりにも影響を及ぼさなかった。これは米日関係の改善と理解できるが、これらの問題に実質的な進展がないことも分かる。言い換えるならば、これらの問題は一時的に回避されたが、米国がいつでもこれにより日本に圧力をかける可能性が残された。
また在日米軍経費の日本側の負担拡大についても、根本的に解決されることはなかった。安倍首相の今回の訪米、1週間前のマティス国防長官の訪日で、米国側は同問題について言及しなかったが、同問題が完全に解消されたわけではない。米国は現在、同問題をめぐりNATO加盟国に注文をつけ始めている。米国の数多くの同盟国のうち、米軍の「抑止力」を最も必要としているのが日本であることから、トランプ大統領が保護費のひもをきつく締めれば、日本はおとなしく「経済の手土産」を献上することだろう。
安倍首相が訪米で気まずい思いをしたことは、日本国内でもはっきり確認されている。国内メディアは「朝貢」じみた訪米を早くから批判しており、安倍首相の米国に媚びを売るやり方は同盟関係における地位の向上に不利なばかりか、むしろ日本の国際イメージと国益を損ねると判断した。世論調査によると、日米関係が「良くなる」とした回答者は6%のみで、53%は日米関係の未来を悲観した。安倍首相は「日米同盟第一」を強くアピールすることで自身の成績にしようとしているが、これは結果的に逆効果になるだけだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年2月20日