作者:王玲(中国科学技術情報研究所政策戦略研究センター)
ノーベル賞委員会はスウェーデン・アカデミーにおいて、日本の科学者の大隈良典氏に2016年ノーベル生理学・医学賞を授与と発表した。このとき、多くの人がため息をついた。どうしてまた日本人なんだ?そう考えるのも無理はない。よく調べると、野依良治、益川敏英、山中伸弥など、21世紀に入ってノーベル賞を受賞した日本人は17人に上るのだ。21世紀に入ってからの受賞の頻度はアメリカに次ぐもので、イギリスやドイツ、フランスを上回る。
2000年に日本政府は、第二期「科学技術基本計画」を制定し、「今後50年で30人のノーベル賞を獲得する」との一大目標を立てた。その時、世界の世論は騒然となった。多くの人々は、日本人が大ぼらを言っていると考えた。だがノーベル賞の受賞者数の増加速度をみて、日本が一歩一歩、志の実現へ歩みを進めていると思うようになった。
1.研究者を尊重する日本
長年の政策的推進を経て、この10年の日本人研究者数は安定を保っている。2015年に86.7万人(専任が68.3万人)に達し、中国、アメリカに次いで世界第3位となっている。注目すべきは、労働人口1万人に対する研究者の数である。日本は長期にわたって世界一で、2013年には130人に達した。中国の19人、アメリカの81人をはるかに上回っている。21世紀に入ってからの日本の科学分野でのノーベル賞受賞者数が世界2位であることが、日本の科学技術の実力と国際的地位を華やかに裏付けている。
2.低出生率問題と若者の将来
誇るべき実績があるとはいえ、科学人材育成に対する日本の未来には多くのハードルが待ち構えている。低出生率は、偉大な事業を受け継ぐ人が少ないことを意味する。これは世界諸国でも見られる問題だ。出生率が減少し続ければ総人口も減少する。加えて、高齢化問題も深刻化している。日本の科学技術人材の確保は容易ではないだろう。このような危機に対して日本政府は、科学技術人材の質を向上させ、その才能を伸ばすことを急務としている。
博士を主とする若い研究者が日本の科学技術革新の主力である。日本政府は、今後、博士課程修了後に独立研究者や大学教員といった職業的発展の道筋を明確にし、若手研究者がそのキャリアにおいて十分に才能と情熱が発揮できる環境を整えていくとしている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年2月19日