米国を訪問した日本の安倍晋三首相は2月10日、就任まもないトランプ大統領と日米首脳会談を行った。安倍首相は正式な会談の終了後、大統領専用機「エアフォースワン」にトランプ氏と同乗し、フロリダ州にあるトランプ氏個人の別荘に赴き、ともに週末を過ごした。日本メディアは、安倍首相とトランプ大統領が個人的な関係を築いた証だとして、これに対する多くの報道を行った。外国の首脳と個人的な関係を築いて日本の外交的意図の実現をはかることは、安倍首相がこれまで取り続けてきた外交手法だ。トランプ大統領に対しても、安倍首相は、なんとか気に入られようと画策している。2016年11月に初めて会った際にはゴルフクラブをプレゼントし、今回はトランプ氏とともに自ら27ホールを回った。あるメディアは二人の会合を「ゴルフ外交」と呼んでいる。
安倍氏の受けた招待から見ても、メディアの披露した映像から見ても、トランプ大統領が安倍首相の来訪を笑顔で迎えたことは間違いない。だが他人に見せる笑顔が心中の親しみを意味しているとは限らない。首脳間の個人関係は国家間の利益の大きな溝を越えるものとなるか。この二つの問題に答えるには、立ち入った考察が必要だろう。
トランプ氏が心の中で本当は何を考えているのか、外からうかがい知るのは難しい。だがトランプ氏は成功したビジネスマンであり、うわべは笑顔で迎えた客に対しても無慈悲な一撃を加えることはあり得る。今回安倍氏を招待した個人的な別荘をトランプ氏が購入した際のやり口はその典型的な例と言える。トランプ氏は別荘周辺の土地を買って別荘の風景を破壊すると脅し、持ち主が2800万ドルを付けていた別荘を800万ドルの低価格で処分させ、自らのものとすることに成功した。
一般的な国際政治の常識からすれば、国家の外交政策の出発点は、その国の国家利益をおいてはなく、首脳の個人的交流が决定的な役割を演じることはない。日本のバブル経済崩壊の重要な原因とみなされる「プラザ合意」の締結を例に取れば、米国がこの合意の締結を進めたのは、当時の米国のレーガン大統領が日本の中曽根康弘首相を憎んでいたからなどではなく、米国の国家利益をただ求めようとしたにすぎない。