あどけない子供たちが、明治天皇が1890年に発布した「教育勅語」を高らかに読み上げ、第二次大戦中に神風特攻隊が歌った「同期の桜」を歌う。タイムスリップしたような感覚に襲われるのではないだろうか。これは大阪市の森友学園傘下の塚本幼稚園で行われている、いわゆる「愛国教育」の中身だ。
この幼稚園内では毎朝、天皇の写真にお辞儀をし、教育勅語を読み上げることが子供たちの日課となっている。教育勅語は戦前の軍国主義教育の重要な支柱であり、日本の国会は1948年に廃止している。また子供たちは毎年、靖国神社地方支部である大阪護國神社の政治集会や、伊勢神宮参拝などの活動に参加しなければならない。
塚本幼稚園は子供たちに「皇国史観」「神の国観念」を宣伝し、さらには彼らと保護者に対して中韓への敵視を押し付ける。保護者宛の手紙には、中韓の人々を侮辱し貶める文章が含まれていた。塚本幼稚園の籠池泰典園長の夫人である籠池諄子副園長は、保護者宛の直筆の手紙で、「韓国人と中国人が嫌い」と公然と称している。
ここは決して普通の幼稚園ではない。籠池泰典園長は、日本最大の右翼団体「日本会議」の大阪支部の役員と運営委員を務めている。同園の教育講演会の来賓は、安倍晋三首相と密接な関係を持つ右翼の文人や政治家となっている。
園児が小学校進学後、塚本幼稚園式の教育を受けられず「駄目になる」ことを懸念してか、森友学園はさらに新しい小学校を建設中で、注目を集めている。小学校の名誉校長は、首相夫人の安倍昭恵氏だ。同校はさらに「安倍晋三記念小学校」の名で寄付金を募っていた。森友学園は校舎建設に用いる土地を購入しており、その価格は付近の同規模の土地の10分の1となっている。
この小学校は「日本初の神道小学校」を標榜しているが、この「神道」とは万物に魂が宿るという伝統的な神道とは異なり、明治維新後に打ち立てられた天照大神を頂点とする「国家神道」、すなわちファシズムの侵略戦争に貢献する国家ぐるみの宗教形式だ。日本のネットユーザーは「森友学園が信奉する理念と手法は、客室内に第二次大戦の侵略を美化した書籍を置いていたことが発覚したアパホテルと同じ、愛国邪教だ」とコメントした。
子供たちに罪はなく、彼らの心は一枚の白紙であるはずだ。しかし右翼勢力は彼らに軍国主義思想を注ぎ込み、恨みの種を植えている。これはどのような人間を育てようとしているのだろうか。国と国の交わりの基礎は、国民にある。この幼稚園の行為は、日本と中韓などの隣国の国民による、友好的な交流の基礎を揺るがそうとするものに他ならない。これは歴史に対してだけではなく、未来に対しても実に無責任である。
安倍首相の就任以来、文部科学省は教科書検定基準を厳格化し、安倍政権の右翼の立場に歩み寄っている。しかし自らの教育理念を徹底させようとする安倍首相が、これだけで満足していないことは明らかだ。彼にとって、塚本幼稚園こそが「アベノ教育学」のモデルと言えよう。
幼稚園で極右思想教育を行う。これは紛れもなく「邪道」であり、あどけない子供たちの心に深い傷をもたらす。その影響は、長く尾を引くだろう。日本社会で現在、右翼思想が氾濫しており、懸念すべき社会現象になっている。これは必然的に、平和を愛するすべての日本人の熟慮と、国際社会の強い警戒を引き起こす。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年2月21日